隠されたTPPの問題点:遺伝子組換え食品の安全性
本日、東京でTPP(環太平洋経済連携協定)をめぐる日米間の実務者協議が再開されました。
今週末、シンガポールで開かれるTPP閣僚会議で大枠を固めようというもの。
甘利大臣は厳しい綱渡りを強いられています。
というのは、日米間の基本認識が大きく食い違っているからです。
たとえば、農業でいえば、日本は「食の安全を重視し、食糧安全保障という観点からも国益を守る」という立場。
しかし、アメリカのオバマ政権は「自らの支持基盤である自動車や巨大アグリビジネスといった特定の業界と企業の利益を最大化する」という考えです。
こうした違いはこれまでの交渉で明らかになっています。
何しろ、USTRでは農業担当の首席交渉官にモンサントのロビイスト出身者をあてがうほどなのです。
一事が万事です。
関係者への説明会にもアメリカの大手企業600社ほどの担当者が常に出席し、情報提供と情報防衛に当たっています。
かつて日本が得意とした「官民一体化」路線です。
オバマ大統領の経済諮問会議の議長はGEのイメルト会長。
福島原発事故を起こしたマーク1原子炉の製造元です。
原発の安全性が問われていますが、アメリカ国内では同じ型の原子炉が23基稼働しています。
福島の原発事故に関しては、東京電力だけでなく、1970年代から技術的問題が指摘されていたマーク1の退役時期を引き延ばしてきたGEの責任も問われるはず。
TPPは食の安全がかかっている交渉です。
食糧増産のためには遺伝子組換え作物を最重視し、その安全性が疑われているにも係わらず、安い食肉や穀物を大量生産し、日本に売り込もうとするアメリカ。
日本国内での遺伝子組換え食品の表示(ラべリング)ができないように画策したアメリカ。
原発の安全神話が崩れた今、同じ過ちを食の分野で繰り返すわけにはいきません。
世界の消費者が懸念を抱いている遺伝子組換え作物。
アメリカ以外の交渉参加国とも情報交換を重ね、オバマ政権の暴走を食い止める必要があります。