ペルー大使館にて世界に誇る『源氏物語』のスペイン語版出版を祝う | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

ペルー大使館にて世界に誇る『源氏物語』のスペイン語版出版を祝う

このたびスペイン語版の『源氏物語(前篇)』が完成したのを記念し、在日ペルー大使館にて翻訳者を招いての講演会が開かれました。


わが国の「女手文学」の金字塔的作品の日本語版の出版を祝うため、エスカラ大使夫妻の呼びかけで大勢の参加者が集まった次第です。




実は、過去にもスペイン語版の『源氏物語』はあったのですが、いずれも英語からの重訳や抜粋訳でした。


昨年の「日本ぺルー外交関係設立140周年」を機に、ペルー日系人協会の支援のもと、初めて日本語原文から直接スペイン語に完全翻訳されたのです。


この歴史的作業に心血を注いだのはペルー人のピント・ロマン氏と日本人の下野泉さん。


ロマン氏は元外交官で、現在はカトリカ大学で日本文学を教える講師。

下野さんは学習院大学で日本文学の博士課程を修了した比較文芸研究の専門家。


ご主人が在ペルー日本大使館に赴任した際に、リマでロマン氏と出会い、それ以来、日本の古典文学の翻訳に二人三脚で取り組んできた間柄。


これまでに、『枕草子』、『土佐日記』、『蜻蛉日記』を全訳されています。


二人の訳出の特徴は原文を単にスペイン語に置き変えるだけではなく、日本の古典文学がもっている「普遍的精神」をいかにスペイン語圏の読者に分かりやすく伝えるかという点に情熱を傾け、創意工夫を凝らしていること。


文学的な観点から、質の高い、香り豊かなスペイン語を選び出す努力を重ねられたことが、下野さんの講演からヒシヒシと感じられました。




『源氏物語』には、現在、わが国が世界にアピールしている「オ・モ・テ・ナ・シ」の源流ともいえる「日本の伝統文化」が息づいています。


下野さん曰く「源氏物語は世界初の、女性の、女性による、女性のための哲学書」。


これを機会に、スペイン語圏において日本理解が一層深まることを期待しているところです。