二胡の奏者シュウミンさんの演奏会で日中関係を想う
防空識別圏をめぐって日中間の緊張が高まっています。
とはいえ、緊張緩和に向けて、米中間のトップ同士が頻繁かつ徹底した接触を重ねているのに比べ、わが国の対応は腰が引けているのが残念です。
たとえば、オバマ大統領と習近平国家主席はカリフォルニアで2日間、8時間の対話をし、バイデン副大統領は習主席と北京で5時間の協議に臨んでいます。
一方、わが国と中国とのトップ同士の対話はほぼ皆無。
安倍総理は習主席とたった2分ほどの挨拶をしたことがあるだけ。
岸田外相は王毅外相とは会ってもいません。
水面下で打開策を模索する動きでもあればまだしも、そちらも凍りついたままです。
安倍総理は「対話の窓は常に開けてある」と繰り返しますが、相手の窓を開ける工夫を凝らす必要があるでしょう。
そんな思いをめぐらせながら、シュウミンさんの二胡の演奏会に参加しました。
今回は「遊弦コンサート」と題し、中国の華ともいえる「漢詩」を音楽で表現しようとする意欲的な趣向。
古から伝わる古曲や漢詩の吟唱に心を打たれました。
京劇俳優の魯大鳴氏の京劇講座も大好評。
言葉の違いを超えて、声や表情の変化、韻のもつ響きの妙を楽しむことに。
中でもダイナミックな古筝の演奏家マオ・ヤさんと華麗な二胡奏者シュウミンさんのコラボは他では味わえないもの。
しばし、「紅楼夢」や「長恨歌」の世界に浸ることができました。
米中関係とは比較にならない長い歴史のある日中関係です。
相互理解のタネは無限にあります。
互いに胸襟を開き、話し合う努力が欠かせないことは言うまでもありません。