火を噴くか、キプロスの金融危機とロシアの出方 | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

火を噴くか、キプロスの金融危機とロシアの出方

キプロスの金融危機がユーロ圏のみならず、わが国にも波及するのではないかとの懸念が広がっています。


そんな折、欧州議会外務委員長エルマー・ブロック議員が来日。


ドイツのキリスト教民主同盟を率いる大物政治家です。


浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba


早速、お会いしましたが、主たる話題はキプロス問題。


ご一緒した元国連事務次長の明石康氏(現国際文化会館理事長)ともども、金融危機の背景、欧州中央銀行の支援策、ユーロ圏内の意見の違い、そして同国の預金総額の3分の1を占める「ロシア・マネー」の行方等について率直な意見を交換することができました。


ソ連崩壊後、国有資産の民営化に乗じて莫大な富を手にしたオリガルヒ(新興寡占資本家)はこぞってタックスヘイブン(租税回避地)のキプロスに資産を移動させていたのです。


高い預金利率や「マネーロンダリング天国」と揶揄されるほどの“甘い”金融監督制度のお陰で、人口80万人のキプロスの銀行は同国のGDPの8倍もの資金を集めていました。


しかし、ギリシャ国債を大量に保有していたため、昨年のギリシャ危機の影響をもろに受けてしまったわけです。


ユーロ圏諸国は連鎖反応を回避するため、救済融資の条件として厳しい預金課税を課すことを求めています。


詳しい条件は本日公表される見通しですが、10万ユーロ以上の預金者は40%近い損失を覚悟せねばなりません。


「金融パラダイス」は終焉を迎え、失業の嵐が吹き荒れるのは避けられないでしょう。


浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba


最大の預金者を抱えるロシアは「キプロス政府を訴えることも辞さない」姿勢を見せており、当面、ドロドロとしたせめぎ合いが続きそうです。


マネーゲームでこの世の春を謳歌したように思われていたのですが、結局、一時の夢でしかなかったことが明らかに。


もって他山の石とすべきだと思います。