仲本淳さん著『わが人生の一考察』を読む | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

仲本淳さん著『わが人生の一考察』を読む

小生が初めて東京を体験したのは昭和46年のこと。


大学受験のためであった。


夜行列車が早朝、東京駅に着いた時、見上げた空に衝撃を受けた。


スモッグで真っ黒な東京の空は、見慣れた田舎の空とは別モノだった。


どぎまぎしている“お上りさん”を出迎えてくれたのが叔父の仲本淳さん。


試験の間、そして合格してからもしばらく、郊外にある仲本家で居候生活をさせて頂いた。


当時、郵便事業を手広く手掛けていた叔父に東京生活を何かと手ほどきしたもらったものである。


「電車に乗って移動する時間を無駄にするな。乗る前に必ず新聞か雑誌を買え」「誰かに食事を御馳走になったら、翌日、その店に挨拶に行け」等々。


機関銃のようにアドバイスを連射する叔父に、戸惑いを感じながらも刺激を受けた。


そんな叔父が『わが人生の一考察』(ふだん記新書)と題する自分史を上梓。


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一読して驚いた。


というのも「マスコミの帝王」とも呼ばれた大宅壮一氏が主宰する「東京マスコミ塾」の3期生だったことを知ったからだ。


そういえば、居候時代のこと。


叔父は夜遅く仕事から帰宅しても、書斎に直行し、何やら熱心に書き物に励んでいた。


また、梶山秀之、扇谷正造、草柳大蔵、大森実など、当時、文壇やマスコミを賑わしていた人物のエピソードをよく聞かせてもらった。


その彼も83歳。


「涙と独りぼっち」と銘打った章の行間からは「美しく老いることの難しさ」が伝わってくる。


久しぶりに訪ねてみようと思う。