アルジェリアでの日本人を含む人質事件
アルジェリアで発生した武装勢力による日本人を含む人質事件は死傷者が出ている模様である。
情報が錯綜しているが、海外プラントの危機管理のあり方が問われる。
「想定外の結果」というのは自然災害にだけ当てはまるものではない。
情勢は刻々と変化しており、現地ではこの瞬間にも想定外の動きが起こっているに違いない。
アルジェリア南部のマリではNATOによるリビアのカダフィ政権の転覆作戦が実行に移されるまではイスラム過激派によるテロ行動はなかった。
ちょうど2年前までのことである。
実はカダフィ大佐の周囲はマリ出身のトゥアレグ族で固められていた。
同大佐が殺害された後、彼らは迫害の対象になった。
そのため大半は出身地のマリに戻った。
そして彼らは新たなテロによるカムバックの機会を窺っていたのである。
カダフィ大佐を葬ったことで、地域の安定化が図られるとのシナリオは楽観的に過ぎたといえよう。
そうした厳しい環境にある北アフリカ地域の現地事情を十分把握していなかったことが、フランスによるマリ空爆の影響を過小評価し、結果的に今回の事件を想定外の悲劇にしてしまったわけである。
政情不安地域に関する情報の収集と分析、そして伝達の重要性が改めて問われる。