米大統領選挙とバンパイア(吸血鬼)
海の向こうのアメリカでは「バンパイア(吸血鬼)」が花盛りのようだ。
今週から始まったオバマ大統領の再選キャンペーンに採用された新テレビコマーシャル。
共和党の候補となるロムニー氏のことを批判する内容は、同氏が創業した投資会社ベイン・キャピタルを「バンパイアのようだ」とこき下ろし、「労働者の生き血を吸う吸血鬼で大金持ちの味方」と揶揄。
確かにロムニー氏は成功した投資家で巨万の富を蓄積している。
とはいえ、同氏の投資会社がかつて多額の資金を投入して企業再生を図ろうとした鉄鋼会社が後に破綻したことを理由に、「ロムニー氏は吸血鬼のようだ」と断言するテレビCMを流すのは、現職の大統領としては少々品位に欠けるのでは。
11月の大統領選挙を控え、アメリカ経済の先行きが厳しいため、人気や支持率に陰りの見えるオバマ大統領。
そうした焦りのなせるワザであろうか。
アメリカでは予備選挙でも本戦でも、相手候補をたたくために、聞くに堪えない誹謗中傷キャンペーンを展開するのが常ではある。
かつて選挙戦に同行したヒラリー・クリントン女史も困惑していたことを思い出す。
表現の自由を掲げるアメリカらしい風物詩かもしれないが、事実無根に近いネガティブ・キャンペーンは有権者の政治不信を募らせるだけではないだろうか。
きちんと政策を訴える「政治の王道」に立ち帰ってもらいたいものだ。
そんな折、もう一人のバンパイアがアメリカからやってきた。
こちらは新作『ダーク・シャドウ』で、主役のバンパイア役を演じるジョニー・デップ。
1966年から71年にかけて全米で大ヒットしたTVシリーズ「Dark Shadows」が映画化されたため、そのプロモーションで来日。
六本木ヒルズで行われたレッドカーペットには映画にちなんだ赤い頭巾をかぶった和製バンパイアが大勢集まり、さながら吸血鬼村のような雰囲気に。
とはいえ、感動したのは、当日、来日し、休む間もなく取材とファン・サービスに徹底するジョニーが吸血鬼ではなく、“仕事の鬼”であることを発見したことだった。