迫り来る北朝鮮のミサイル危機
春一番なら大歓迎だが、昨今の異常な低気圧がもたらす暴風雨には辟易させられた方も多いだろう。
突風による放射能汚染の拡散が深刻化することも懸念される。
そうした不安材料を吹き飛ばすかのように、今週、恒例の「アラブ・デー」の式典が盛大に開催された。
30か国近いアラブ諸国の大使が一堂に会し、震災から1年が経ったとはいえ除染やがれき処理に苦闘するわが国に対し、物心両面にわたる支援の継続を約束してくれた。
心強い限りで、感謝の一語に尽きる。
先般国賓として来日されたクウェートの首長からも心温まる追加経済支援の申し出を頂いたばかり。
被災地のニーズを的確に把握し、効果的な資金の活用を図らねばならない。
そんななか、永田町では依然として政局という名の嵐が吹き荒れ始めている。
「ポリティカル・アニマル」と言われるだけに、春先になると吠えたくなるのは職業病なのか。
とはいえ、日本を取り巻く環境は厳しさを増している。
吠えたり、叫んでいるばかりでは、事態は一向に改善せず、大競争時代の世界から取り残される一方であろう。
消費税論争も大切だが、北朝鮮によるミサイル発射が目前に迫る中、破壊措置命令を出すだけでは問題の解決には結びつかない。
北朝鮮は「資源探査と農作物の育成状況を把握するための人工衛星」の打ち上げだと主張。
しかし、軍事専門家の間では事実上の「長距離弾道ミサイル」の発射実験と受け止められている。
そのため米軍は最新鋭のミサイル探知レーダーを周辺海域に配備し、追尾、破壊態勢を整えた。
関係国が連携して不測の事態に備えているわけだ。
アメリカ政府は「自国ならびに同盟国の安全が脅かされる場合には直ちに迎撃ミサイルで撃ち落とす」と、すでにミサイル迎撃システムを稼働させた。
まさに日米の防衛協力の真価が問われる場面である。
北朝鮮では4月13日が最高人民会議、その前後に朝鮮労働党代表者会、4月15日には「太陽節」を迎える。
これは故・金日成主席生誕100周年を祝う祝日である。
最も危険な瞬間と見られる。いずれにせよ、こうした危険な隣国の暴走を食い止め、無力化する対抗策を構築する時であることを肝に銘じておかねばならない。