世界遺産条約40周年を平泉で祝う
今年は「世界遺産条約」が採択されて40周年。
条約の締結国はアフガニスタンからジンバブエまで188カ国を数え、すでに世界全体で936件が世界遺産一覧表に名を連ねている。
世界遺産の件数が最も多い国はイタリアで43件。
次いでスペインと中国が41件で並ぶ。
わが国は昨年、小笠原諸島と平泉が「顕著で普遍的な価値を持つ文化遺産や自然遺産」として新たにユネスコによって認定され、16件となった。
これを記念し、2月13日には岩手県一関(いちのせき)にて「日本における世界遺産条約採択40周年開幕宣言」が行われた。
記念シンポジウムの基調講演を行ったのは山折哲雄・国際日本文化研究センター名誉教授。
演題は「廃墟から遺産へ:その歴史を守っていくために」。
世界から集まった文化や歴史遺産の専門家を前に山折氏は「3・11」大震災の経験から説き起こし、平泉に息づく浄土思想の特質に鋭く迫った。
チベットや中国、エジプト・ピラミッド文明との意外な相違点にも言及。
未来に向けての文化遺産の意味を噛みしめるには、またとない示唆に富む内容であった。
隣の席で講演を聞いていたユネスコのボコバ事務局長も深く感銘を受けたようだ。
世界遺産は単に自然や歴史的価値を次世代に継承するだけではなく、その背後に潜む思想への理解を育むことが大切だと意気投合した。
日本の創造的価値観外交にも生かすべきヒントを得ることができたと思う。