マーリキー首相の熱いメッセージ
イラクのマーリキー首相が2度目の来日。
日本の新聞等では「マリキ」という標記が多いが、言語感覚に素直に従えば「マーリキー」となる。
いずれにせよ、小生は初めてお会いしたが、威風堂々とした立ち居振る舞いや格調高いアラビア語には心を揺さぶられた。
フセイン時代に死刑宣告を受け、イランでの亡命生活を経て、今日の地位を得た、まさに“闘魂の政治家”である。
短い滞在であったが、日本に寄せる熱い思いを語ってくれた。
その間、東日本大震災の復興支援にと1000万ドルの義捐金を持参。
加えて、原油の優先供給も決定して頂いた。
被災地のみならず日本国を代表して感謝の意を伝えた次第である。
(ルアイビ石油大臣から義捐金と原油優先供給保証書を受けとる)
わが国は2003年以降、イラク復興のために50億ドルのODAの供与、67億ドルの債務救済、そして4200人を超えるイラク人研修生の受け入れ等を行ってきた。
困った時、苦しい時に助け合うのはお互い様。
両国の信頼関係が一層堅固なものになるよう願っている。
折しも、8年前の11月29日は奥克彦大使、井ノ上正盛一等書記官がイラクで凶弾に倒れた日。
享年45歳と30歳の2人の外交官の命がけの献身的活動を忘れず、イラクの未来に向け、日本としてできる限りの協力を傾注したいと思う。
中東地域の安定のためにはイラクの復興は欠かせない。
本年末には米軍が撤退する予定。イラクにとっても日米両国にとっても節目の時である。
日本からの投資を求めるマーリキー首相に三菱商事、JAPEX、アイテック、住友商事、豊田通商などが積極的に応じており、頼もしい限りであるが、まだまだ道のりは遠い。
治安の回復、インフラの整備、医療・教育の拡充、新産業の振興など、日本や国際社会からの一層の支援が求められる。