建国88周年を機に100周年戦略を練るトルコ
先週は欧州の金融危機をめぐりG20サミットの場で激しいやり取りが繰り広げられた。
とはいえ国家破綻の瀬戸際にありながら、ギリシャもイタリアもケセラセラといった様子。
国民性の違いもあろうが、消費税の10%値上げを国際公約した生真面目な日本とは大違い。
そんな彼我の差を噛みしめつつ、小生は担当する中東と欧州各国との関係強化に走り回った。
月曜日はトルコの建国88周年のお祝い。
火曜日はアルジェリアの第57回ナショナルデー。
水曜日は欧州連合(EU)代表部の新事務所落成式。
文化の日を挟んで、金曜日は駐日アルメニア大使と同国の大統領訪日に向けての打ち合わせ。
その間、チュニジア、グルジア、イラン、ロシアからの来客とも膝づめ協議といった具合。
これまでご縁の薄かったアラブ世界にも友人、知人の輪が急速に広がっている。
嬉しい限り。
とはいえ、慣れないアラビア語や難易度の高いトルコ語やアルメニア語の飛び交う舞台は気が抜けない。
英語のスピーチならいざ知らず、「ミサーウルヘイル」「ヤークシャムラーシュ」(いづれも、こんばんわ)など、にわか仕立ての挨拶には毎回、四苦八苦の連続だ。
しかし、おおむね外交団の皆さんの間では好評のようで、一安心。
トルコ大使館では東日本大震災に際し寄せられた支援に感謝の意を伝えつつ、先月のトルコ東部での大地震へのお見舞いと救援物資の提供を申し出た。
日本政府はすでにテントと仮設住宅を送っている。
トルコのフリゲート艦「エルトゥールル号」が和歌山県の沖合で難破し、乗組員が地元の漁民によって救助された事故から昨年で120年。
それを記念し、トルコ各地では日本人の恩を忘れず、新たな関係の船出を祝すための「日本年」イベントが開催されたという。
(エルトゥールル号の模型の前でトルコの臨時代理大使アングル氏と)
エルドアン首相は「建国100年目を迎える2023年までに経済力で世界のトップ10入りを目指す」と宣言。
東西文明のかけ橋を標榜するトルコの強かな国家戦略には、日本との関係がしっかりと織り込まれている。
インフラ整備や宇宙開発の分野でもトルコと日本は協力の翼を広げはじめたところ。
欧州の金融危機を食い止めるためにも、中東、ロシア、アジアの連携が欠かせない。