消えることのない大震災の爪痕
3月11日から半年近くが経つが、東日本大震災のもたらした人的、物的被害の甚大さは消えることがない。
警察庁の調べによれば、8月末の時点で、死者は1万5731人。
行方不明者は4532人。
負傷者が5719人。
建物については、全壊が11万4490戸。
半壊が15万4554戸。
一部破損は54万918戸。
わが国の観測史上最大の地震の爪痕は凄まじい。
先週訪ねた仙台市郊外にある南蒲生浄化センターでは鉄筋コンクリート製の建物が大きく凹み、いまだに津波の威力をまざまざと感じさせる。
しかし、今回最も衝撃的だったのは、県警の車が停車しているので、「どうしたのですか」とたずねた時のこと。
「波打ち際に犠牲者の遺体の一部がうちあげられてくるのです」とのこと。
長靴を拾い上げると、中に切断された足の一部が入っているとの説明。
そういえば、周辺のガレキ置き場やヘドロの山のあちこちに白い旗が多く立てられている。
聞けば、これも遺体の一部が発見された目印だという。
また、南相馬市で訪ねた老人保健施設「ヨッシーランド」は26人の入居者が犠牲になったところ。
道路の向こう側は1メートルほど高くなっており、そちらに逃れることができれば助かっていた。
だが、車イスの高齢者には思うように移動ができず悲惨な結果となった。
施設内に慰霊台が設けられており、小生も焼香させて頂いた。
ふと目の前の柱時計に目をやると、時を刻んで動いている。
津波は押し寄せたが、1メートルほどの高さ。
柱時計には届かなかったのだった。
もし、2階か屋上に避難できれば入居者も介護師の方々も犠牲にならずにすんだに違いない。
案内して頂いた南相馬市の副市長、村田崇氏とガレキの処理や防災・減災対策についてじっくりと意見交換をした。
ガレキを再利用した道路の補強計画や安全対策を徹底して介護・医療・教育施設の強化に是非とも役立てたい。
以前は松林に遮られ視界に入ることのなかった海が今では間近に迫っており、自然との共生に知恵を絞ることの大切さも痛感した。