ウサマ・ビンラーディン、9回目の死亡宣言
国際テロ組織「アル・カーイダ」の指導者ウサマ・ビンラーディンがパキスタンにて米特殊作戦チームによって射殺された、とのニュースが世界を駆け巡った。
菅首相は「テロ対策の顕著な前進を歓迎し、関係者の努力に敬意を表する」との談話を発表。
しかし、オバマ大統領の説明には腑に落ちない点も多い。
第1に、「法の裁きを受けさせる」と明言していながら、なぜ「頭部に2発も銃弾を撃ち込み、念入りに射殺した」のか。
これで裁判を通じての「9・11テロ」真相解明の機会は永遠に失われてしまった。
ビンラーディンの2人の妻と6人の子供は、その場で拘束されたという。
寝込みを襲ったわけで、催涙ガス等を使えば、いくらでも生け捕りできたはず。
第2に、遺体のDNA鑑定もそこそこに、「イスラムの教義に従い、アラビア海に水葬した」のはなぜか。
長時間の銃撃戦の末にサダム・フセインの息子らを射殺した時には、遺体を鑑定に回し、その情報をきちんと公開した。
今回は、急襲後、12時間で遺体を「消滅」させてしまったわけだが、10年もかけてようやく捕捉した容疑者を十分な検分もしないで海の藻クズにしてしまう理由が理解できない。
これでは、殺害されたのが本物のビンラーディンだったのか、客観的な検証ができないままになる。
米軍は遺体の写真もDNA鑑定データも公表しようとしない。
そのため、ネット上では合成されたビンラーディンの遺体写真(偽物)のようなものが出回っている。
それでなくとも、ビンラーディン死亡説は2001年以来、今回で9度目になる。
しかも、イスラム教に「水葬」などの教義はないはず。
第3に、パキスタンの国内で同国政府に事前の通告もないまま、テロ掃討作戦を実行したことは、明らかな主権侵害といえる。
事前通告がなかったため、米軍の急襲ヘリを侵略的行為と受けとめたパキスタン軍との間で戦火を交える一歩手前までいった。
なぜパキスタン政府をカヤの外に置いたのか。
疑問は膨らむばかり。
要は、大統領選挙にからむ米国内の政治事情が優先されたとしか思えない。
実に目ざめの悪いオバマ式「勝利宣言」ではあった。