真実を語らない官僚
こんな気持ちの悪い会合も珍しかった。
本日午後、自民党本部で開催された「農林水産物貿易調査会」のこと。
議題は「日豪EPA及びTPPの現状と対応について」。
外務省、財務省、農林水産省、経済産業省の担当者が説明のためにずらりと顔を揃えていた。
ところが、最初の質問で会議は想定外の方向へ流れ、紛糾。
その経緯はこうである。
同僚議員曰く「去る4月の第一週、キャンベラにおいて外務省の審議官クラスが出席して、日豪間の話し合いが行われたのか」。
この何気ない質問に対して、外務省の担当官は回答を拒否。
のらりくらりと、「協議は行っていません。さまざまなレベルで意見交換はしています」と繰り返すばかり。
実は、今週水曜日からオーストラリアの首相が来日する予定である。
東日本大震災の以前から決まっていた訪日計画。
外務省は「震災に見舞われた日本を激励するための来日」と言うが、そのためだけに一国の首相が来るわけがない。
明らかに日豪間の経済連携協定を促進し、ひいてはTPPを加速させる狙いがあると推察するのが当然であろう。
しかし、外務省のみならず、他省の担当官も右にならえで、ただただ同じ言葉を繰り返すのみ。
これでは政治主導による「箝口令」が敷かれているとしか思えない。
30分近く押し問答をしたが、らちがあかない。
結局、もやもやしたまま、会合はお開きとなった。
最後に調査会長が4省の出席者に対し、「全体を取り仕切れると思う人がいれば発言をしてもらいたい」と促したが、誰も手をあげず。
もはや新たな政局のタネをばらまくと言ったようなもの。
情報を下手に隠そうとすれば、嘘に嘘を重ねることになるのだが。
福島原発事故の場合もそうだが、情報操作は諸刃の剣に他ならない。
本当の国益を考えているのか、官僚機構の真価が問われている。