原子力神話の崩壊 | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

原子力神話の崩壊

日本経団連の米倉弘昌会長は福島第1号原発の事故について、「千年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと。原子力行政はもっと胸を張るべきだ」と発言。


さらに「事故は徐々に収束の方向に向かっている」とも述べている。


経団連副会長の職にある東京電力の清水正孝社長を励まそうとしたのかも知れないが、史上最悪の原発事故に世界中が固唾を飲んでいる時に、いくらなんでも「胸を張れ」はないだろう。


そもそも、政府も東京電力もこれだけ大きな原発事故であるにもかかわらず、それを過小評価しようと躍起になっているとしか思えない。


いたずらにパニックを煽ることは避けねばならないが、事態の危険性から目を遠ざけようと意図的に情報操作を繰り返すことは許されない。


地震大国でありながら、福島原発の場合は「マグニチュード7」までの耐久強度設計になっていた。


今回の「マグニチュード9」の巨大地震と大津波に遭遇し、「よく持ちこたえている」とも言えるが、本来の耐久レベルをはるかに超えているわけであるから、より深刻な「想定外の」事態が発生する可能性について、政府はきちんと説明し、周辺住民に対して避難手段を用意する責任があるがはずだ。


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福島第1原発で採用されている「マーク1型格納容器」の危険性を指摘し、GEの原子力エンジニア3名が抗議の辞職に及んだことも隠されてきた。


アメリカも中国も早い段階で自国民への避難勧告や救出活動を行っているではないか。


欧州議会は「日本政府は事態収拾能力を失った」とまで報告している。


ロシアの諺を思い出す。


「楽観主義者とは経験不足な悲観論者のこと」。


根拠なき楽観論ほど危険なことはない。


ロシアのプーチン首相はシベリアへの放射能汚染の危機に言及。


NHKはじめ日本のメディアの報道ぶりと欧米のそれとの違いに愕然とさせられる毎日である。


原子力の安全神話がただの神話に過ぎなかった現実を直視すべきであろう。