世界に広がる原発パニック症候群:求められる冷静な対応
東日本巨大地震が引き起こした福島原発の爆発は世界中に不安のタネをまき散らしている。
特にアメリカでは終日CNNはじめメディアが前例のない報道合戦を演じているせいで、日本以上に過剰な反応が見受けられる。
その過熱ぶりは、あの「9・11テロ」を上回るかのようだ。
「チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故の比ではない」「東京も放射能汚染に見舞われつつある」「在日米軍基地では放射能予防薬を配布した」といった具合である。
なかには「日本から脱出する外国人で成田発の国際便は1週間先まで予約が一杯」とか「中国政府は日本滞在中の中国人を救出するためチャーター便を仕立てて、連日、ピストン輸送中」といった報道まで。
その影響であろうか、アメリカやカナダの西海岸では甲状腺ガンの予防薬が突然売れ始めたという。
カナダの保健省では「日本での原発事故で健康被害が想定されることはない。ポタシウム・イオダイドを予防薬として服用する動きがあるが、まったく必要ない」と警告を発しているほど。
実は、ちょうど25年前に起こったチェルノブイリの記憶が甦ったせいか、ロシアのウラジオストックでも同種の予防薬が売り切れ状態になっているらしい。
ロシア人の友人に言わせると「日本から放射能が飛来することはない、と報道されているが、ロシア政府の言うことを信じている人は少ない」。
こうしたパニック状態の連鎖反応が各国に起っていることに対して、菅政権はあまりに無頓着である。
総理は「イラ菅」ぶりを発揮し、東京電力の本社に乗り込み、幹部を怒鳴りつけたというが、最高指揮官としてはあるまじき行為。
国内はもとより海外の不安を払しょくするためにも、原発の現状と安全対策に関する、冷静な説明を心がけてもらいたい。