名水「天の真名井」
水をめぐる争いが世界的に広がっている。
なかでも中国の強引な水商売は物議を醸して久しい。
水商売といっても、中国の場合はインドやインドシナ諸国と共有している国際河川の上流にダムを造り、下流域の国々の生命線を締め上げるといった荒っぽいやり方である。
自国では水源が枯渇するまで汲み上げ、砂漠化を放置したまま。
このままでは北京も上海も砂に埋もれるのは時間の問題といわれるほど。
そんな中国が目をつけ始めたのが日本の森林であり、水源である。
最近、中国の投資家の意向を受けて、各地の不動産業者がめぼしい水源地を買い漁る動きを見せているようだ。
わが郷里の大山(だいせん)山麓でもそんなウワサが飛び交っている。
実地調査を兼ねて、日本名水100選に指定されている「天の真名井」を訪ねた。
『古事記』、『日本書紀』の時代から滔々と流れ出る伏流水の見事なまでの美しさ。
わが国の歴史も伝統文化も、こうした名水なくしては語れない。
地域社会の生存に欠かせない美水。
内外を問わず、水商売のターゲットにしてはならない、と強く肝に銘じた次第である。