前原外相の妄想
「安保改定50周年、どうなる日米関係」と題するシンポジウムに出席した前原誠司外相は亡国発言を繰り返した。
曰く「外交の一番の優先課題は経済外交に尽きる。
その柱はたった一つ。
国を開くことだ。
そうしなければ、日本の競争力は低下してしまう。
日本の自由貿易協定のレベルはかなり低い。
日本は環太平洋戦略的経済パートナーシップに入るべきだ」と発言。
さらに、「日本の国内総生産(GDP)の割合で1.5%の第一次産業を守るために98.5%が犠牲になっている」と続けた。
つまり、「農業、林業、水産業は国内的に生産力が弱いので、海外に依存した方が経済的メリットは大きい。国内で保護する必要はない」というわけだ。
これは菅政権の進める「環太平洋連携協定(TPP)」交渉と同調する動きであるといえる。
いずれの場合も、わが国の農業はじめ第一次産業を破壊してもかまわない、という短絡的にすぎる発想だ。
なぜなら、関税撤廃の例外を認めない、完全な貿易自由化を目指した内容となっているからである。
言うまでもなく、わが国はすでに世界で最も開かれた農産物純輸入国になっている。
計算方法に異論はあるものの、食糧自給率はカロリーベースで40%。
こうした状況下でTPPを締結すれば、日本農業は壊滅の危機に直面しかねない。
世界中で食糧や水の争奪戦が激化している時に、「国内の食糧生産基盤を放棄し、海外に任せた方が得だ」というような前原発言は看過できない。
こうした無責任な経済外交を主張する民主党では、ただでさえ脆弱なわが国の食糧安全保障体制は崩壊の憂き目を見ることになる。
“強い農業“なくして、国民の生活の安定も国家の未来もないはずではなかったか。
尖閣諸島をめぐる迷走ぶりを見るまでもなく、国家観のない安易な経済外交では、外国の餌食になるのがオチだ。