日中首脳立ち話会談
菅直人首相は考えを二転三転したあげく、国会での審議日程を先送りし、ブリュッセルで開かれたアジア欧州会議に出席した。
こじれっぱなしの日中関係を打開させたいと、日本の立場を国際社会に訴えるため、アジアやヨーロッパの首脳と直に話し合うのが目的のはずだった。
事前の説明では日中首脳会談は予定されていなかった。
ところが、外務省によれば、現地での夕食会終了後、菅首相と温首相が「ほぼ同じ方向を歩いていた中で、自然な形で」立ち話会談に至ったというではないか(実際には廊下の椅子に腰かけて)。
しかも25分間も。実に不可思議である。
温首相には日本語通訳が同席していたが、菅首相には英語の通訳しか同行していなかった。これでは菅首相の発言がどこまで温首相に伝わったのか疑問が残る。
つまるところ、日本政府の外交センスのなさが歴然となったといえよう。
そういえば、鳩山前首相とオバマ大統領は普天間問題がこじれた際に、アメリカでの10分間の食事の合間会談を行ったことが思い出される。
その内容はいまだに明らかにされていない。
どうやら、民主党出身の首相はアメリカの大統領とも中国の首相ともまともな会談ができないほど日本の外交を貶めてしまったと言っても過言ではない。
偶然にはありえない温家宝首相との会談において、菅首相が何を話したのか。
本日の自民党の外交部会で、外務省はその詳細を、「外交上のやり取り」という理由で頑として明らかにしようとしなかった。
これではわざわざ国会を中断して欧州に出かけた意味など全くないではないか。
一事が万事で、国家観や国益擁護の発想が見えない菅政権。
このままでは日本の前途は風前の灯火と言わざるを得ない。