ここに時間も空間もなく
ただ貴女がいるだけで僕はひそかに満足する
女子校でイジメに遭ったと貴女は言う
容姿の件でのイジメだったと僕に訴える
不登校になりやがて退学したと言う
好んだのは小説だけだったと貴女は回想する
高校中退でしかも心を病み
就職できずに七年間引きこもり
今は僕の隣りにいる
狂ってしまった人生をやり直したいと言う
手段も方法も見出せず
ぼんやりしたり焦ってみたり
僕は雲を眺める貴女のことを美しいと思う
朝はいつも憂鬱だと貴女は嘆く
人生そのものが滅茶苦茶だと貴女は泣く
空に浮かぶ黄色いアドバルーンを眺めながら
快楽を激しく求め
快楽から逃げ惑い
慾情する貴女のこの眼差しの美しさ
肉体を支えて僕はつい泣いてしまう
寄るべなさに苦しむといけないから
今宵もジャズの軽快を味わって
パウル・クレーの黒い絵画を貴女と見つめる
いつか全てに
ありとあらゆる宿命の全てに
ありがとうと貴女が微笑するその日まで
僕らは快楽をむさぼりあう
希望に裏切られた美しい横顔
