「・・・この間の体育館の人たちも?」
淳が一瞬黙る。でも、私が本当に話したいことは、そのことだった。
「あの人たちは、淳に見てほしくていたわけじゃなかったんでしょ」
「・・・あれは、俺のおせっかい。もう出ないんじゃないかな、死体見つかったし」
「そういう問題なの?」
どうしてそれで終わるのか、その二人のいきさつもわかっていないのに。
「うん、そういう問題」
「・・・何かあった?」
「なにも」
嘘だ。
「ねえ、直接会ってなくたって嘘ついたらわかるんだよ」
淳が黙る。今度は沈黙が続いた。しまった、追い詰めすぎたと思った。落ち着くために細く長く息を吐いて、はきつくしたところで大きく息を吸って声を変える。
「まあ、でも淳が話さないって決めたことだったら、いいんだよ。無理に聞こうとは思わないしさ。ごめん、言いすぎだったね」
淳は、ああ、というか、うう、というか、なにかうなってから言った。
「そういう物分りのいいこというなよ。本当にいいとは思ってないんだろ」
「思ってるよ」
反射的に答えてしまって、本当のことっぽくないなと思った。
「思ってるよ、本当だよ。淳にいやな目見させるのと私が聞きたいのとどっちが大事かなって考えたら、淳のほうが大事だって思ったから、聞かなくっていいんだよ」
「・・・聞きたいのは変わらないんだ」
「そりゃそうさ!」
おどけて見せると、淳もようやく笑ってくれた。神経質になっているようだから、多分何かあったんだろう。でも、もういい。
「でも、電話って、珍しい選択だよね。そこまでして説明してくれてありがとう」
「実は山下の入知恵」
「え、佳奈ちゃんの?」
「なんか、話しておいたほうがいいぞ、危機だぞって」
佳奈ちゃんありがとう。思わず苦笑する。
うん、じゃあね、また明日と言い合って電話を切る。
会わないで、顔が見えない状況で話すというのは、こういうときに有効かもしれない。本音にちょっと近かったし、私も頭が整理できた。
聞きたい、より、話さなくて言いよ、のほうが優先だ。
淳がどうしてそう思ったんだろうという問題は何も解決していないのに、なんだか安らかに眠れた。私自身の問題は解決してしまったからだろう。