日々の何気ない小さな幸せに気付いたり、平凡な暮らしではあるけれど、好きな音楽を聞いたりして、充実した毎日を過ごしていたあなた。
時折友人とたわいもない話をしたり、ご飯を食べに行ったり、ライブに行ったりするのが生きがいだった。
毎日笑顔で過ごせていた。同じような日々ではあったかもしれないけれど、新しい明日に向けて一歩を踏み出すことに躊躇なんかしていなかったはずだ。
いつからだろう。
そんな普通の幸せさえも特別なことだったんだと思うようになったのは。
今では誰かと気軽に喋ることさえ憚られる。もちろんご飯を食べにいくのも。
めっきり外出の機会は減って、家の中で楽しめるものが増えていった。
それはそれで楽しみもあったが、窮屈な気持ちは心の片隅にずっとあった。
みんなマスクをつけて、表情がわからないまま、見えない恐怖と闘いながら生きていた。
あなたも変わらずマスクをつけて、家への帰り道を歩いていた。
いつもと変わらぬ街灯の真下に、一枚の紙が落ちている。
普段なら気にせず通り過ぎるはずなんだけど、どうしてだかその紙にはとても大切なことが書かれている気がした。
その紙に書いてあったのは、一言。殴り書きのような、力強い筆跡で、
「Next Destination」
次の目的地へ…?
一体なんのことだろう。どういう意味だろう。
紙を裏返してみると、何やら謎の暗号が描かれている。
これを解き明かしたら、もしかしたらこの言葉が伝えたいメッセージがわかるのかもしれない。
「Next Destination」
毎日に疲弊したあなたにとって、その言葉はどうしてかキラキラ見えた。
あなたはその輝きの理由を知りたくて、謎に挑戦することを選んだ。
なんかはじまりましたね