『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021年) | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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待望だったウェス・アンダーソン監督の最新作であり記念すべき長編第10作目の今作は、映画館の受付担当のスタッフさん泣かせのような、やけに長いタイトル名の『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』という映画ですが、以下、『フレンチ・ディスパッチ』と作品名の表記を省略させて頂きます。

 

本作は、今からちょうど1ヶ月ほど前の1月28日(金)の日本公開開始日の公開初日に、滋賀県大津市の大津アレックスシネマまで鑑賞に出向いて来た作品です。

 

 

今年度の8本目の劇場鑑賞作品。

(※今年度の大津アレックスシネマでの4本目の劇場鑑賞作品。)

 

 

 

「ウェス・アンダーソン監督待望の新作映画(22.1/28・2D字幕版)」

ジャンル:コメディ/人間ドラマ

原題:The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun

製作年/国:2021年/アメリカ

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン(サーチライト・ピクチャーズ)

公式サイト:https://searchlightpictures.jp/movie/french_dispatch.html

上映時間:108分

上映区分:一般(G)

公開日:2022年1月28日(金)

監督:ウェス・アンダーソン

キャスト(配役名):

ビル・マーレイ(アーサー・ハウイッツァー・Jr.:雑誌の編集長) / ティルダ・スウィントン(J・K・L・ベレンセン:美術批評家) / フランシス・マクドーマンド(ルシンダ・クレメンツ:雑誌記者) / ジェフリー・ライト(ローバック・ライト:美食ジャーナリスト) / オーウェン・ウィルソン(エルブサン・サゼラック:雑誌記者) / ベニチオ・デル・トロ(モーゼス・ローゼンターラー:投獄された天才画家) / エイドリアン・ブロディ(ジュリアン・カタージオ:美術商) / レア・セドゥ(シモーヌ:看守でローゼンターナーのミューズ) / ティモシー・シャラメ(ゼフィレッリ・B:学生運動のリーダー) / リナ・クードリ(ジュリエット:学生運動組織の会計係) / マチュー・アマルリック(アンニュイ警察署長) / スティーヴン・パーク(ネスカフィエ警部補兼シェフ) / リーヴ・シュレイパー / エリザベス・モス(雑誌記者) / ギョーム・ガリエンヌ / エドワード・ノートン(誘拐犯) / ジェイソン・シュワルツマン(エルメス・ジョーンズ:雑誌の風刺漫画家) / ウィレム・デフォー(アバカス:囚人) / トニー・レヴォロリ / ロイス・スミス(アップシュア-・”モー”・クランペット:美術蒐集家) / クリストフ・ヴァルツ(ボリス・ショマーズ) / ルパート・フレンド / ヘンリー・ウィンクラー(ニックおじさん:ガタージオのビジネスパートナー) / シアーシャ・ローナン(ショーガール) / ボブ・バラバン(ニックおじさん:ガタージオのビジネスパートナー) / セシル・ドゥ・フランス / ドゥニ・メノーシェ / イポリット・ジラルド / アンジェリカ・ヒューストン / ヴァンサン・マケーニュ / ダミアン・ポナール / グリフィン・ダン 他

 

 

【解説】

「グランド・ブダペスト・ホテル」「犬ヶ島」のウェス・アンダーソン監督が、フランスの架空の街にある米国新聞社の支局で働く個性豊かな編集者たちの活躍を描いた長編第10作。

 

国際問題からアート、ファッション、グルメに至るまで深く切り込んだ記事で人気を集めるフレンチ・ディスパッチ誌。編集長アーサー・ハウイッツァー・Jr.のもとには、向こう見ずな自転車レポーターのサゼラック、批評家で編年史家のベレンセン、孤高のエッセイストのクレメンツら、ひと癖もふた癖もある才能豊かなジャーナリストたちがそろう。ところがある日、編集長が仕事中に急死し、遺言によって廃刊が決定してしまう。

 

キャストにはオーウェン・ウィルソン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンドらウェス・アンダーソン作品の常連組に加え、ベニチオ・デル・トロ、ティモシー・シャラメ、ジェフリー・ライトらが初参加。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

 

 

  はじめに

 

お話しの流れというか、今作の設定としましては、

1975年。アメリカの中西部の架空の新聞『ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン』は、世界中のジャーナリストが独創性の溢れた記事を寄稿する、これまた架空の別冊雑誌を持つのでした。

それが1925年創刊の『ザ・フレンチ・ディスパッチ』である。フランスの架空の街アンニュイ=シュール=ブラゼに編集部があり、世界50ヶ国で50万人の読者を抱えているという設定なのでした。

 

 

創刊者で編集長のアーサー・ハウイッツァー・Jr.(ビル・マーレイ)が急死したことで、彼の遺言とおりに雑誌を廃刊することが決まり、前払いした定期購読者には、残金の払い戻しも行なわれる。

 

 

現在、編集中の雑誌は最終号となった上に、編集長への追悼を込めて、1つのレポートと3つの物語が追悼号としても掲載されることになったのでした。

 

 

それぞれの記事内容と共に、編集長が存命中だった時の編集部の様子を加え、大きく4つのエピソードに分けて、オムニバス風に、コミカルに且つシニカルさを込めながらシュールに描いていくといった形式でお話しは進行します。

 

 

前作の『犬ヶ島』(2018年)では、日本の文化に対してリスペクトを込めたアニメ作品でしたが、今作の『フレンチ・ディスパッチ』では、映画の国、フランス。それも20世紀の「架空の都市」に編集部を構える(実在するアメリカの雑誌『ザ・ニューヨーカー』をモデルにした)「架空の雑誌」という空想のヴェールを纏わせながらも、フランスの文化への憧れや敬意に満ちたオタク心をくすぐる凝りに凝ったウェス・アンダーソン監督印全開のまさに”観る雑誌”そのものなのでした。

 

 

  前作『犬ヶ島』(2018年)とは

 

 

▲ウェス・アンダーソン監督による前作の未来の日本を舞台にしたストップモーションアニメ映画『犬ヶ島』(2018年)の過去記事もリブログしておりますので、ご興味が惹かれましたらお読み下されば嬉しい限りです。

 

 

 

その4つのエピソードとしましては、

 

  「自転車レポート」

 

先ず、エピソードその1。

「自転車レポート」では、エルブサン・サゼラック記者(オーウェン・ウィルソン)により、編集部のあるアンニュイ=シュール=ブラゼの街を紹介するといった突撃レポート的なエピソード。

 

 

 

  「確固たる(コンクリートの)名作」

 

そして、次にエピソードその2。

「確固たる(コンクリートの)名作」は、美術批評家J・K・L・ベレンセン(ティルダ・スウィントン)による芸術紹介記事。

 

 

殺人で服役中の天才画家のモーゼス・ローゼンターラー(ベニチオ・デル・トロ)と、その価値を見出した美術商ジュリアン・カタージオ(エイドリアン・ブロディ)、そして絵画のモデルになっている看守シモーヌ(レア・セドゥ)との、実にコミカルでシュールなエピソード。

 

 

 

 

 

 

 

 

  「宣言書の改定」

 

更に、エピソードその3である、

「宣言書の改定」は、ルシンダ・クレメンツ記者(フランシス・マクドーマンド)による学生運動の記録。

 

 

 

 

 

 

 

学生運動のリーダーであるゼフィレッリ・B(ティモシー・シャラメ)と、彼に恋する学生運動組織の会計係の学生ジュリエット(リナ・クードリ)たちによる、その数奇なエピソード。

 

 

  「警察署長の食事室」

 

最後のエピソードその4は、

「警察署長の食事室」として、祖国を追われた美食ジャーナリストのローバック・ライト記者(ジェフリー・ライト)によるエピソード。

 

美食家のアンニュイ警察署長(マチュー・アマルリック)と、お抱えシェフでもあるネスカフィエ警部補(スティーヴン・パーク)を中心に、署長の息子の誘拐事件が起きた顛末を振り返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  補足:編集長の追悼記事

 

といった様に、本作そのものが一冊の架空の雑誌『フレンチ・ディスパッチ』であり、個性的なプロが集まる編集部と、各々の記事の要となる様々な人物の背景がギッシリと詰まっており、最後には補足記事として、見事に編集長の遺体が安置された編集長室で追悼記事が書かれて、編集部は解散。

 

といった流れで構成されている、まさに”観る雑誌”。

 

ウェス・アンダーソン監督流のコミカルで且つ、実にシュールな、クスクスッと笑えるオタク心をくすぐる凝りに凝った内容ではありましたが、半端ない情報量過多のために、字幕を追うのと画面を追うのに必死で、こんな時に、フランス語やフランス映画などフランスの文化にも造詣が深かったら、さぞやもっともっと面白いのだろうになぁとその点が悔しくなったのと同時に、たとえフランス文化に造詣が深い人でも、初見では到底オマージュや暗喩などをすべて理解するのは困難な映画ではないかと思われて、映画ではありますが一時停止したい欲求に駆られるシーンの連続でもありました。

 

ですので、この新型コロナ禍の中にあって、私の場合には、繰り返し何度も同じ作品を劇場鑑賞する余裕もありませんが、またDVDソフト化なされた際には、特典映像などがあればそれらと併せて、再度数回鑑賞に臨みたい気持ちでいっぱいでした。

 

 

個人的にはアニメーションで構成されているパートのシーンをもっと長く観たかった面などもありはしましたが、他の作品では観ることが出来ないような案外ワイルドなティモシー・シャラメを観られたのと、レア・セドゥの思い切りの良い芸術的な大胆な裸体を観られた事で、スッカリと骨抜きにされただけでも充分に満足ではありました(笑)

 

 

 

  私的評価:★★★★(80点)

 

私的評価と致しましても、

私の場合には、フランス語やフランス映画などに全く造詣が深くないので、オマージュや暗喩の元ネタも全く分からないのが実に悔しかった部分でもありましたので、その意味合いでは、前作の日本のカルチャーをリスペクトしたアニメ映画『犬ヶ島』(2018年)の方が、まだ今作よりも、元ネタやオマージュについても理解出来るので面白く観ることが出来たかと思います。

 

従いまして、それなりに面白いのは確かだったのですが、私個人的には、心底から手放しで愉しむ事が出来なかった部分もあったので、五つ星評価的には、高評価ではありますが、★★★★(80点)の四つ星止まりの評価が相応しい作品かと思いました次第です。

 

 

 

 

○『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』予告編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。