『スノーデン』(2016年) #スノーデン #オリバー・ストーン #TOHOシネマズ二条 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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この映画『スノーデン』も、もうかれこれ3週間前に観た映画の感想記事となり、全国で公開している劇場も少なくなって来ていますが、誠に申し訳ありません。

 

「祖国愛し、世界を信じた、純粋な裏切り者(17.2/2・劇場)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:SNOWDEN

製作年/国:2016年/米=独=仏

配給:ショウゲート

公式サイト:http://www.snowden-movie.jp/

上映時間:135分

公開日:2017年1月27日(金)

監督:オリバー・ストーン

出演:

ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シャイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ザカリー・クイント、トム・ウィルキンソン、スコット・イーストウッド、リス・エヴァンス、ニコラス・ケイジほか

 

PG12

 

 

 

【解説】

ハリウッドを代表する社会派監督オリバー・ストーンが、アメリカ政府による個人情報監視の実態を暴いた元CIA職員エドワード・スノーデンの実話を、ジョセフ・ゴードン=レビット主演で映画化。

2013年6月、イギリスのガーディアン誌が報じたスクープにより、アメリカ政府が秘密裏に構築した国際的監視プログラムの存在が発覚する。ガーディアン誌にその情報を提供したのは、アメリカ国家安全保障局NSAの職員である29歳の青年エドワード・スノーデンだった。

国を愛する平凡な若者だったスノーデンが、なぜ輝かしいキャリアと幸せな人生を捨ててまで、世界最強の情報機関に反旗を翻すまでに至ったのか。

テロリストのみならず全世界の個人情報が監視されている事実に危機感を募らせていく過程を、パートナーとしてスノーデンを支え続けたリンゼイ・ミルズとの関係も交えながら描き出す。

(以上、映画.comより抜粋引用。)

 

2013年。アメリカ政府による国際的な監視プログラムによる不正な情報収集を告発したエドワード・スノーデンの謂わば暴露と言える行為は、一時、世界的なニュースになりました。

 

 

また、このエドワード・スノーデンについては、既に、先に『シチズンフォー スノーデンの暴露』というドキュメンタリー映画が2014年に製作され、昨年の2016年に日本でも公開されていましたが、生憎と、私の場合には、そのドキュメンタリー映画については未見。

 

どの国でも、ある種何らかの秘密は抱えているとは思いますが、エドワード・スノーデンが暴露した、そのアメリカの秘密の内容には驚かされましたね。

9.11の世界同時多発テロ行為に端を発しているとは言え、その自衛手段にしては、あまりにも行き過ぎた人権侵害であり、所謂、合衆国憲法をはじめ、国民の基本的人権を制約するに足りる、公共の福祉の要件を満たす行為とまでは到底考えにくいほどでしたね。

 

そしてまた、この日本でも、今まさに、<テロ等準備罪>を、今度は<共謀罪>という呼称の法律でもって、この安倍政権下で、形式的にでも国会で審議をし、ゴリ押しで成立させて、国民の内心の自由の侵害さえも起きかねない事態にあるということも念頭に置いてみるべきかも知れないですね。

 

 

本作品は、CIAとNSA(国家安全保障局)などで重職を担ったエドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が祖国を告発するまでに至るまでの約10年間の軌跡を映画化した実録ドラマです。

そこで、スノーデンは、まず最初は、素朴な愛国心から軍隊に入隊するのですが、そこで足を負傷したことから、コンピュータに詳しい自分の特性を活かしながらアメリカに貢献しようと、CIAに勤務するようになります。

 

 

そこから、コンピュータに関し、ずば抜けた知識を教官に認められた彼は、スイス・ジュネーヴへと派遣されると、国家安全保障局(NSA)が、個人の私生活まで含めた情報を、携帯その他の個人通話記録。MicrosoftやAppleなどのコンピュータソフト。電子メールやチャットやYouTube。TwitterやFacebookなどのSNSをはじめ、GoogleやYahoo!などの検索エンジンサイトなどからも、情報収集するのみならず、しいては、個々人の電源を切っているPCを勝手に遠隔操作で起動させては個人情報を覗き盗み見るなど、本当に怖ろしい監視社会が実行されている事を知り・・・と話しは進みます。

 

 

インターネットを用いたSNSが、決してバラ色の未来をもたらしてくれた訳ではありませんが、この広い世界をインターネットを通して、これまでになく身近に感じる様な世界にしてくれた<ツール>である事は確か。

そんな誰もが気軽に手にして使える<ツール>を、国を統治する権力者が身近な<脅威>に変えてしまう。

 

いくら<テロからの自衛手段>という名を借りた<公共の福祉に反しない>という大義名分を掲げたとしても、アメリカの合衆国憲法において明文化された条項に違反する明確な憲法違反行為であり、国家権力による国民の所謂、プライバシー権を侵害するほどの行き過ぎた監視は、断じて許してはいけないでしょうからね。

 

▲このドナルド・トランプ第45代大統領による【独裁者ツイットラー】ぶりには、日本政府・経済界も戦々恐々。そしてまた、いざという時の伝家の宝刀のはずの大統領令の乱発にも呆れるばかり。

 

 

 

SNSのひとつであるTwitterを都合の良いオモチャにしているトランプ大統領は、それこそ「ツイッター」と「独裁者ヒットラー」の名前をもじって、「ツイットラー」とも呼ばれていますが、その背後で、この<便利なツール>を、また誰かが危険な<監視ツール>へと変えようとしていないかと戦々恐々とするばかりですね。

 

 

ましてや、そもそもが合衆国憲法に違反する疑いの濃い法律でもある、アメリカ合衆国の法律のひとつである、外国情報監視法(FISA)を拠り所にして、そのアメリカの情報収集プログラムは、テロリスト該当者のみならず、世界各国の民間企業や一般の個人にまでおよび、日本を含む同盟国までがその対象になっていたという驚愕の事実の数々。

 

 

この映画を観ていて、恐怖感を伴いながらも、いろいろ教えられるところがありました。

その詳細については、実際にこの作品をご覧になって頂きたいのですが、特に強い印象を受けたところを挙げますと、

 

 

オリバー・ストーン監督のこの映画の描写によりますと、スノーデンは日本の横田基地でも勤務したことがあるらしく、スノーデンの話しでは、もはや同盟国であるはずの日本のインフラ設備に関する根幹を成すプログラムも掌握していたらしく、いざという時には、インフラ設備をそのものすべてをシャットダウンさせる事も容易に行えるほどであり、アメリカという国の狡猾さとその強大な恐ろしさが如実に伝わって来ますよね。

 

 

また、国家安全保障局(NSA)がエドワード・スノーデンが一緒に暮らしている恋人リンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー)の私的な情報まで集めていたこと。

スノーデンなどCIAなどの職員本人は、万が一にも二重スパイであったりしたら困りますから、ある程度の私的情報を探られるのも仕方がないと思いますが、本人以外の家族や恋人の私生活にまで踏み込むという事にはかなりの抵抗があったのは無理もなかったかとも思いましたね。

 

 

ただ、劇中の国家安全保障局(NSA)の厳重な警備体制からデータを持ち出す手法が少々スパイ映画っぽい様なスリル溢れるドラマチック仕立ての描写にしようとしたのは分かりますが、少々安易というか信憑性に乏しい感じがしてしまうのも無理もなく、事実通りに出来ない事情や背景もあってのことでしょうが、もっと他のアイデアもなかったのかと少々残念にも思ってしまいましたね。

 

そして、また映画の中で、スノーデンと恋人リンゼイ・ミルズとの描写に時間を割くのは良いのですが、劇中に恋人との全裸でのセックスシーンなどの描写があるがために、PG12指定の規制が付いてしまった点も少々残念でなりませんでしたね。

 

 

スノーデンはウィキリークスの創始者による手引きにてロシアに亡命し、今もロシアで暮らしています。

 

果たして、この映画が描く通りであるならば、スノーデンはかなり純粋な青年ということになるでしょうが、オバマ政権から親ロシアを打ち出すトランプ政権に移行し、あのロシアのプーチン大統領から手土産として、このスノーデンが近々アメリカに送還されるとの噂も耳にします。

ですが、そもそも、それ自体が、実はアメリカが仕組んだ大掛かりなロシア機密を盗み出すための二重スパイ的な一大プロジェクトだったら面白いのですが、いくら諜報大国のアメリカでも、そこまで狡猾な側面は持ち合わせていないかもね(?)。

 

と言うか、そもそも民主党オバマ政権下で暴露した事件であったので、オバマ政権下の政策をすべて否定して掛かっている共和党のトランプ政権までを巻き込むような、長期間に亘る一大プロジェクトなどが有り得るはずがないでしょうからね(笑)。

 

 

このスノーデンの暴露により、少なくともアメリカ国内でのNSA(国家安全保障局)の行為は行き過ぎだったと、事の表層のみならず、中身までもが軌道修正が図られていることを祈るばかりです。

 

ですが、トランプ政権下になり、思想的に偏重気味な、白人至上主義者であり、KKK団とも繋がりが濃いと言われるトランプ大統領の側近のバノン氏がNSA(国家安全保障局)常任メンバー入りすることとなった事からも、情報操作や監視社会が温存され、これまで以上に悪用されかねないといった危険性もはらんでいますので、オバマ政権下の時以上に、この映画或いはスノーデンに関するドキュメンタリー映画に興味を持って多くの人々にこの現実を知って頂くべく観て欲しいとも願うばかりですね。

 

先ずは、私も、ドキュメンタリー映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』を観なければいけないですね。

 

でも、それよりも先に成すべきは、パソコンのカメラに絆創膏を貼らなければ!!!(笑)。

 

 

 

私的な評価と致しましては、

以前からまことしやかに話されていたことですが、実際に、アメリカのNSA(国家安全保障局)による、この様な一般市民の個人の私生活まで覗き盗み見されているといった事実や、アメリカと同盟国関係にある日本のインフラ設備を司るシステムまで管理していたという事実には、驚愕するほかなかったほどでしたね。

多少残念だった安易過ぎる信憑性に乏しそうな描写も気にはなりましたが、人間エドワード・スノーデンのなりきり演技を見せるジョセフ・ゴードン=レヴィットはじめ芸達者な俳優陣が揃い、凄く面白く問題意識を持って観ることが出来ましたので、五つ星評価では、ほぼ満点の四つ星半の★★★★☆(90点)でも相応しい作品かと思いました次第です。

 

▲エドワード・ジョセフ・スノーデンご本人

 

エンディングのテロップに、「himseif」として「エドワード・ジョセフ・スノーデン」と書かれていた通り、最後にご本人が登場した際には少々驚きましたが、スノーデン彼自身も、トランプ政権下となった事で、プーチン大統領からの手土産としてロシアからアメリカに放り出されない様にと祈るばかりですね。

 

●映画『スノーデン』予告編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。