こういった苦しみに対しての説明は色々とできるのですが、今日はその中でも
「被害者意識」という角度からお話してみたいと思います。


 
 すでにご自分でもお気づきのかたもおられるかもしれませんが、
たとえば他者が道の向こうから突然に現れたためにびっくりして腹が立ったとか、
怖い!と感じたという場合、それは他者に原因があるのではなく、こちら側に原因があるのです。


 その他者は突然に現れた訳ではありません。普通に道を歩いていただけなのです。

 
 従って、こちらの「腹が立った」という感情反応に対して、こちらが自分の感情反応を肯定するための理由をつけているだけなのです。これをわたしは「ネガティブ・ブラックボックス」の正当化と呼んでいます。


 こちら側の心に何もなければこういった反応はしないものです。


 では、こちら側の心に何があるのかというと、代表的なものとして先述のような「被害者意識」があるのです。大抵の場合において、何らかのネガティブな記憶が原因となっています。自分で自分の身や心といった大切なものを守ることができなかった、侵害された、という過去の受動的な苦い記憶が「被害者意識」を生み出すのです。


 心身の慢性的な疲労が蓄積したりしていると、他者がエレベーターに乗ってきただけでも「なんなの⁈」と腹が立つような場合があります。もっと疲弊(ひへい)していったりして精神的なパワーがダウンしたり、ネガティブな意識が内側に向き続けていたりすると「怖い!」と感じるようになる場合もあります。こういった変化を経ずに最初から「怖い!」と感じる人もおられます。これも強い「被害者意識」があるためです。


 同じネガティブ感情のグループで、少しだけ被害者意識とは異なっている「犠牲者意識」というものもあります。


 公園といったような公共の場にいるとして、誰か他者が「うーん」と伸びをしただけでも腹が立ち、

「なんなの、あの人!
人前であんな伸びなんかして!
いい大人が恥知らずじゃない?!

待って。
ひょっとして私のことナメてるの⁈ 大体、ああいう人って・・・」

と怒りが延々と続き、驚かされることがありますが、こういった人はかなり「自分は犠牲になって来た」と思っている確率が高いのです。


 「自分は色々なことをガマンして、あるいはさせられて来たのに、自由に振る舞っている他者が憎たらしい」と思うようになるのです。


 そういった人の理屈によると、「自分はさんざんガマンしているのだから、他者は自分以上にガマンしないと気がすまない!」となるのです。


 こういった被害者意識や犠牲者意識とは、じりじりと自分の思考回路を焼き焦がして信念を強化しているようなものですので、苦しいですし、抜け出すことに越したことはないでしょう。


 抜け出し方としては、大切なポイントを浮き立たせるためにとてもシンプルにお伝えしますと、
まずは自分がネガティブな反応をしていることに気がつくことです。


 これは大変重要です。
 自分の反応に気がつかないで一生を終えてしまう人々も大勢いるくらいだからです。自分の反応に気がつくことができないと、そこから自分の過去や思いをチェックすることも難しくなってしまうでしょう。気がつくだけで手放せる人も多いくらい重要なことなのです。


 気がついただけで手放せそうなかたは、「あ、もう自分、ガマンするのをやめよう。」と思っていただき、少しずつ、簡単にできそうなことからガマンすることを手放していって頂けたらと思います。


 具体的には、たとえば気乗りのしないお誘いをお断りしたり、しなくてもいい仕事を減らしたりしてガマンをやめる練習を自覚して行うと良いでしょう。すると次第(しだい)に被害者や犠牲者というものから卒業できていき、その分人生がラクになっていくのです。


 そして空いた時間は意識して、休むなり、自分らしく楽しく過ごすなりと自由に過ごして、「満足」といったポジティブな感情を実感することです。



 次に、気がついただけでは手放せないというかたや、
そんな過去があったことにはとっくに気がついているが、どうしたらいいのかわからずに長年苦しんでいる、という場合には、「手放しの作業」に入ることをおすすめしています。

 
 「手放しの作業」についてはわたしが過去にお伝えしている、例えばオーソドックスな「インナーチャイルドのワーク」ようなもの以外でも、スピリチュアルなワークを教えてくれている人たちはたくさんおられますので、そういった皆さんの書籍等を参考にされて、なんとなく気になったというものから始めてみて頂けたらと思います。


 ここで注意点があるのですが、フラッシュバックのようなやむを得ない事態を除いて、必要以上に「思い出すこと」を行うと、記憶や感情といった「思い込み」の再強化となります。


 ですので他者にはできるだけ語らないほうが本当はいいのです。しかし「どうしても誰かに聞いてもらいたい!苦しくてたまらない!」という時もあるかもしれません。そういった時は「思い出すことには理由があって、そして必要があって行う」という目的を意図的に持つと良いでしょう。


 そして可能な限り早い段階から、ワークと同時に自分にとっての「幸福」とは何なのかを考え、そして実感し、「幸福」な状態である「楽しい、嬉しい、好き、ホッとする」といったポジティブな感情のほうにフォーカスし、育てていって頂きたいと思います。これも「幸福」が目的なのであれば大変重要なポイントです。


 さっと書いてしまっているのですが、トラウマの強度により、こういった癒しの過程は(すさ)まじいものとなる場合があります。勿論どんなにトラウマが深かったとしても、そうではない場合もあります。


 大切なことは、どんなワークを自分に施すのかということも大事ではあるのですが、

被害者意識や犠牲者意識に限らず、「自分は苦しんでいる」とか「苦しんでばかりいるのはうんざりだ」とか、「自分には〇〇の意識があるのだ」といった、客観的な認識や願望があって、「この状態から抜け出すためにワークといった手放しの作業を行っているのだ」と先にしっかり自覚しておくことで、癒しの過程がスムーズにいくことも多いですので、今回お伝えしてみました。


 それではまた・・・。