職場や趣味のグループの人とのお酒の席では、色々なかたがいることを実感する時があります。

 一般的に、「お酒を飲むと本性が出る」と言われることがあります。
 
 お酒を飲んでネガティブな発言や行動をする人がおられることがありますが、
わたしはそういった方に対して、
本性が出ているというよりも、
「押さえつけたつらさが出る」と思っています。

 人間の本性とは、本来ポジティブなものなのではないかという考えを持っているからです。

 従って、お酒を飲んで、普段のその人とは思えないほどのネガティブな行動をとるという方は、
何か、それほどまでのつらさを抱えており、意識的にでも、無意識にでも、「お酒」というものによって、つらい本音を表現する「許可」が、ようやく自分から自分に下りるのではないかと思います。

 普段から、自分を押さえて、押さえて、我慢させて、例えばお酒といったもので解放する、という生き方は、とても厳しいことを自分に強いているのです。

 もしも、自分は「お酒を飲むと人が変わる」と言われる、という方がいらっしゃったら、心に相当量の「腹だたしい。つらい。悲しい。やりきれない。」といった思いがたまってしまっているので、

 まずは感じるまま、ノートに書いて、吐き出しましょう。
 
 「そんなことやって、何になるんだ。現実は何も変わらないじゃないか」と思われるかもしれませんが、意外とそうではありません。

 少なくとも、自分の悲しみや苦しみと向き合うことになりますので、吐き出し続け、自他の誰をも責めることなく、「自分はこんなに、辛いのだ。傷ついているのだ」と、心から自分の本心を知ってあげると、次第に「お酒を飲むと人が変わる」ということは収まってきます。

 これが収まるだけでも、人生はぐんと楽になるはずです。何故なら、「それほどまでに人生のつらさを感じさせる何か」といった『根本的なこと』への苦しみと、「お酒を飲むと人が変わると言われる」という、二つある苦しみのうちの一つ、後者の苦しみが無くなるからです。

 そのコントラストを実感してください。

 そうしてコントラストに安心、緩みと言ったものを実感した時、残る『根本的なこと』に対する自分の視線が変容している部分があることに気が付くでしょう。

 こういったことも、「自分と仲直りする」ということなのです。

 そして周囲の人は、我慢し無理して付き合うことはないのですが、もし良ければ、
「あの人は、お酒を飲むと人が変わって本性が出てくる」という言葉の代わりに、

「あのひとは、お酒を飲むとようやくつらさが出せる人」
という言葉を持ってみて頂けたらど思います。

 本来のその人とは、お酒を飲んでいない時の、優しそうで大人しそうな状態と、飲んだ時の真ん中あたりにあるのです。

 誰しもがそこに戻っていけたらいいですね。
 
 では・・・。