そろそろ考古検定のお勉強を真面目にやらないと。
まだまだこちらの本を読んでいます。
考古学はどんな学問か
お勉強も本を読むのもあんまり得意じゃないのかもしれない。
復習がてら読んだことをさっくり御紹介。
「比較的肩は凝らないが、その内容はある程度考古学の基本的な問題を取り扱っていて、幅の広い読み物となるようなエッセーを中心に選び出して」みた書物とのこと(「おわりに」より)。
その設定どおり、冒頭いきなり、みんな大好きトイレの話から。
便器の種類やその構成比から、その施設を使用する集団の性別や年齢の構成比を知ることができること、そうやって文字ではない資料から人の生活の様子を再構築するのが考古学の考え方なんだ、と。
そんなことを思いついたきっかけは、男性である著者が、女子大の講師をしていた時の、トイレでの違和感だそうで。
また、物的証拠から特定の時点の様子をすることの例として、三菱重工爆破事件や、火災現場での間取りの復元など。
考古学の基礎は、物的証拠としての遺跡、遺物を発掘、採取すること、その過程できちんと記録をとること。
"Piecing together the past"(過去を接ぎ合わせる)という書生気があるそうです(V. G. チャイルド著)。素敵な名前。
但し、手に入れられるのは、辛うじて現在にまで残ってるものであり極めて限定的。
また物的証拠の残らない、社会の構成やものの考え方などは復元できない。
人工物の他にも、証拠が残る場合も。
水田址と思われるものの、それを示す人工物が出ない場合でも、水田(人間が手を加えた環境)特有の雑草の種子やイネにつく害虫の破片、イネに含まれるプラント・オパールが出れば水田であったと考えられる。
人類が自然に働きかけた痕跡から、人類と自然のかかわりあいの長い歴史を知ることができるということ。
文字の出現後も、文字資料に残されない事柄も多く、歴史研究は発掘調査に負うところも多い。
近いところでは第二次世界大戦時の遺物でも(保存食の容器* )、文字資料がなく存在を知る人がほとんどないというものも。
考古学と自然科学は分かちがたく、考古学の研究法には地質学、生物学の影響があり、また自然科学の分析手法の発展で考古学の研究が進むことも。
遺物の年代測定ができたり、黒曜石の産地を特定することで物資交換のあり方を知ることができたり。
農学者、植物学者、昆虫学者、土壌の専門家、花粉学者などの手を借りることで、農業のありかたを知ることができたり。
破壊の度合いを抑えて調査することができるようになるなど、遺跡・遺物の保存にも技術の発展は貢献している。
農業の始まりは自然破壊の始まりでもあり、その歴史を紐解き、自然との均衡のとり方を学ぶことができる。
そのためにも考古学と自然科学の協力が重要な役割を果たすと考えられる。
遺跡や遺物は、市民の連帯を生むこともあるが、時により自己中心的な排他的歴史観を生む場合も。
とある遺物の組み合わせがゲルマン民族の存在を示すとされ、それがナチス・ドイツの侵略を正当化に用いられたことも。
日本も日韓併合時に同様のことをしている。学問と政治の距離の取り方には重々注意しなければならない。
考古学は、物的証拠から人類の歴史を再構築する。
歴史同様「過去を知ることが、現在に生きる人々にとっていかなる意味を持つのか」という問いから逃げることはできない。
というあたりで最初の1篇がおしまい。
考古学の扱う範囲、アプローチの方法などがふわっとわかったような。
初出が1984年なので、今はまたもっと違う状況なのかも。新しめの教科書的な本も読まないと。
*^ 今ではインターネットで検索すればさっとヒットするのですごい。→防衛食容器
文章の初出(1984年)から調査が進んだためか、それとも当時は調査が追い付かなかったのか……。
中に入れる食料が不足したため生産中止って、シビアな時代だな。