本日が最終日ということで、

昨年亡くなった日本画家、岩澤重夫展へ。


ネットでさくっと調べていった情報が間違っていて、

新宿高島屋経由で日本橋高島屋へ。

18時閉展の1時間前に滑り込み、汗をかきながら鑑賞。

というか、室温が低めに設定されていて、ちょっと寒い。

おもわず身を固くしながらの芸術鑑賞、

観る者のコンディションとしてはいただけないものだろうなぁ。


それはさておき、お目当ては、金閣寺客殿に描かれたふすま絵。作者の岩澤氏は、この作品を仕上げてから間もなく亡くなられた。


コバヤシ+アングル-iwasawa

(写真は高島屋HPよりお借りしました)


ド素人のコバヤシ、ふすま絵というものに明るくない。

なんとなく持っているイメージ、つまり先入観は、

狩野派のふすま絵とか、ああいった歴史的な作品。

時の流れを経て、変色もあり、重厚さも加わっているもの。


それだけに、岩澤作品の明るさ、軽快さが印象的。

とくに、プラチナと墨で描いた抽象的な山水や、

金箔とプラチナ箔のよる桜など、

コバヤシの先入観を裏切る、独特の世界だった。


この裏切られ方、再建や復元された寺社を見たときに似ている。普段、目にするのは、くすんだ朱色の、ええ感じに鄙びた古寺なわけで、突然、目の前に現れた、朱色鮮やかで、妙に明るくさっぱりした寺社に、うわっ・・・と瞬きをする、あの感じ、である。


ちなみに、岩澤作品に使われていた銀箔も、時間を重ねると黒く変色して、趣が変わることを想定しているらしい。なるほど、画家も「そういうこと」を考えているんだね。


「そういうこと」がどういうことなのかというと、動的変化、作品の時間性。これまで、瞬間の芸術とか呼ばれる花火とか、最近時々目にするサンドアートのようなものに時間性を感じてきた。それに対して、絵なんてものを、なんとなく静的なイメージで捉えていた。たとえば、風景画とかは、ある場面・イメージを静的に切り取ったもの、みたいな。


でも、岩澤氏が銀箔の変色を意識しているように、ここにも時間性がある。瞬間ではなく、もっと長い時の流れを見こした、ゆるやかな時間への意識。そういえば、宮大工だって、200年後の軒の反り具合を計算して作っていると聞く。木の重みで、しだいに下がっていく軒の反り。200年後の美しさを思い描いていると。


ふすま絵以外にも、岩澤氏の壮大な風景画がたくさんあって、なかなかに見ごたえのある展覧会。

どうぞ、お近くにお寄りの際は・・・と言えればいいのだけれど、もう、終わってしまったので、お勧めすることが叶わない。ごめん。


しかも、金閣寺客殿のふすま絵は、今回をもって非公開となる。今後、いつ、公開される時がくるのか分からないけれど、その時はきっと、色合いも移り変わり、違った印象を与えてくれるのだろう。岩澤氏が狙った、あるいは時間に託した、ふすま絵の別の姿。作者は見ることが出来ないその姿を、コバヤシは見ることが出来るだろうか。



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