今更な東山魁夷展についての話 | いつか…ユデタマゴ

 
いつだったかの美術館巡りラスト・・
遅筆でスミマセンあせる



【特別展  没後15年記念  東山魁夷と日本の四季】@山種美術館


縁の深い美術館と画家・・・
展示作品のほとんどが山種美術館所蔵品です

皇居宮殿ゆかりの作品と「京洛四季」の連作が見所だと思いますが、
他にも美校での恩師や同窓の画家達の作品も良かったです


全ての作品ではありませんが、作品の説明と言えば言えるような魁夷自身の文章や、特に師への想いを語った言葉が掲げてありました



◆第1章  風景画家への道

「師の描く日本の四季」として川合玉堂、結城素明、川崎小虎 (魁夷の岳父でも有ります) の作品の展示です

魁夷は写生の大切さをよくよく説かれたことを挙げていました
特に結城素明に対しては「師のこと」という文章の中で、
「心を鏡のようにして自然を見ておいで」と言われたことが後々一筋の光明となったと述べています

また、長女と結婚をしたため身近に接する事となった川崎小虎に対しては、一切の虚飾がなく愛情を込めて表現をした画家と回顧しています
そのような文章を読むと更に《草花絵巻》などの作品が、ただ対象物を素直に見て描いたものとして心にスッと入ってきました




◆第2章  《満ち来る潮》と皇居宮殿ゆかりの絵画


1968年、皇居に新たな宮殿が建てられました  
その室内には、内外の賓客を至高の日本美術で迎えようと当時の日本画壇での最高峰の作家の作品が飾られています

それらは勿論、一般の人が観ることは叶いません

今回展示のの宮殿ゆかりの絵画とは、その素晴らしい作品を広く人々が楽しめるように、
山種美術館の創立者である山崎種二が、同趣の作品を画家達に依頼したものです




東山魁夷の宮殿装飾絵画《朝明けの潮》が飾ってあるのは、国公賓が最初に眼にする場所である長和殿「波の間」です

本展では《朝明けの潮》のための様々なスケッチ、宮殿内部のパネルなどが展示されていました
後期(12/23~)には中下図も展示されるので、同行の魁夷好き女子は悔しがってました…ウシシ
(つーか、前に観たよ!近代美で…覚えてないのね)



山崎種二にこの壁画を偲ぶことが出来る作品を依頼された魁夷は、はじめは断ったものの思案の末引き受けて《満ち来る潮》を完成させました


《満ち来る潮》1970年

宮殿壁画は横約15m縦4mの大きいものですが、こちらは横約9m縦2m、それでもやはり大作です  
寄せてくるゆったりとした波を描いた《朝明けの潮》に対し、岩にしぶきをあげた激しい描写が目を引きます





《朝日桜》1970年  橋本明治

皇居正殿松の間の杉戸に描かれた《桜》を偲べるようにと依頼されて描いた作品

新宮殿と同じく、福島県三春の滝桜を写生したものからです  
遠景を想定して大まかな装飾的要素が強い《桜》と比べ、本作は材質や寸法の違いを考慮して幹や枝も細やかに描いたとの説明が有りました





《新宮殿杉戸楓4分の1下絵》1967年  山口蓬春(蓬の正字は2点しんにょう)

この正図が上記の《桜》と共に東廊下の杉戸に描かれています

先日の天皇誕生日のテレビニュースで目に出来るかなぁと思ってましたが、違う戸が引かれていました…




《楓図  小下絵》1970年  山口蓬春

依頼を受けても体調が思わしくなく、本作の方は完成前に亡くなってしまったそうです
山種用に描いたものの方が、ほんの僅か朱が濃いように感じました
こちらも福島県の取材で、磐梯朝日国立公園付近の楓の大木に理想を見つけたそうです




◆第3章  京洛四季 ― 魁夷が愛した京都の四季


宮殿の大仕事をしながらも、魁夷は足しげく京都に通い写生をしました  
作家の川端康成に今の京都を描く重要性を説かれたこともあり、京洛四季シリーズとして18点もの作品を描いたのです



《春静》1968年
(ポストカードを撮りました)

鷹ヶ峯というところに向かって、一本の桜が咲いている様を描いています
深く複雑な色みのたっぷりとした稜線と、ほんのりと浮かんでいるかのような桜、そして春の朝空の色も気持ちを穏やかにさせます



《年暮る》1968年

旧京都ホテル屋上から望んだ京の町です

川端康成の言った言葉、「京都は今描いといて頂かないとなくなります。京都のあるうちに描いておいてください。」

この風景がまさに、そういったものなんだと感じます…



《秋彩》1986年

京都を主題にした連作のうち、上記の《春静》《年暮る》の2点が山種美術館所蔵でした  
開館10周年記念展の際に夏の風景の《緑潤う》制作し、所蔵品に春夏冬が同じ大きさで揃います

同20周年記念展を機に四季を揃えたいと思い、魁夷は《秋彩》を描きました
小倉山辺りのイメージを背景に紅葉を配し、春の絵が朝だったのでこちらは秋の夕暮れを描いたそうです



《北山初雪》(川端康成記念会) 1968年

この作品は、川端康成がノーベル文学賞を受賞した後にお祝いで贈ったものです

立ち並ぶ杉の繁みの深い錆びたような青色と、木を覆う雪の冴えた青灰色が、ぼんやり光る背景に冷たさを強めています



◆第4章  四季を愛でる

風景画家として、巡る季節をいとおしみ大切に描いた魁夷の作品と、
ともに歩んだ同時代の画家達の「四季」の展示です



《萬緑新》(宮内庁) 1961年

昭和天皇御在位時に新築された吹上御殿に飾られた作品・・

阿蘇・那須・翁島の3ヶ所へ写生旅行をした結果、福島県猪苗代町の翁島を選んで制作しました
吹上御所の庭の美しい池は御殿からは見えないので、水の有る風景が良いのではと考えたそうです

眩しい初夏の新緑…ただただ美しいと思います


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今年は例年になく多くの日本画を観ました…
好みはハッキリしていますが、拘らずこれからも機会有れば観に行こうかな…と思っています
ラストが東山魁夷なのでふと述べたりして・・