バルテュスナイト☆ その2 | いつか…ユデタマゴ


月曜日のバルテュスナイト☆、今更の続きを・・・  f(^^;

 

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「バルテュス」
本名 バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ (1908-2001)

ポーランド人の美術史家であった父と画家の母のもとパリに生まれ、芸術的な環境で育ちました

僅か11才の時に、母の恋人のリルケ(←コレも凄い) に才能を見いだされ絵本の出版をしています
2度の世界大戦の緊張と不安の中で傑作を生み出すも、パリを離れ田舎に居を構えます
自然に目覚めたバルテュスはこの頃から風景画を多く描くようになりました

ローマのアカデミー・ド・フランスの館長に就任し日本美術展の作品選びのために初来日した際、ご案内役をした節子さんと出逢い、後に結婚します
以降、作品に日本美術の影響が現れるようになりました……

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等々を予習し、企画室での自由鑑賞タイムです!
午前中に来て気ままに観るのとは違い、閉館時間が有るのでキモチ焦りつつ廻りました

無料の音声案内も借りず引っ掛かった作品のみ凝視しよっと…


のつもりが、初っぱなから躓いちゃったー




■第1章    初期



《ミツ》バルテュスによる40枚の絵  1921年  本

リルケの助力で出版された最初の作品となる絵本が全ページ有りました
色々と、ん?な事もあるけどじんわり来るタッチで、一筆箋 (写真)を買っちゃった、えへ



また、生涯手本とし敬愛し続けたピエロ・デッラ・フランチェスカの「聖十字架物語」に基づく絵が有りましたが…フムフム



■第2章     バルテュスの神秘 


「嵐が丘」(エミリー・ブロンテ)のための14枚の挿し絵が有りましたが、鉛筆とペンで描かれた線が神経質な印象です




《キャシーの化粧》1933年 油彩

本人は否定しているそうですが「嵐が丘」の挿し絵と殆んど同じです
違いはキャシーが裸に近いこととヒースクリフがキャシーを見ていないこと…
キャシーは苦しい恋のお相手であり、ヒースクリフはバルテュス自身だそうです



《鏡の中のアリス》1933年 油彩

片胸をはだけ左足を椅子にかけて性器を見せながら、髪を櫛でとかしています
兄の友人の妻がモデルだそうですが、官能的な体つきと白目を向いたような眼が対照的です

チラシに称賛と誤解だらけの…という紹介文がありますが、確かに誤解されるよねという代表作

というか画廊で開いた初めての個展で、話題作りを狙いあえてスキャンダラスな作品も発表したそうです



《夢見るテレーズ》1938年  油彩

ポスター、チラシに載っている作品です
初めて少女をモデルにした作品で、以降この隣人の娘を9点描きました
こちらにスカートの中を見せるポーズは、無防備さと、もう大人よという背伸びした気持ちを少女の中に見たゆえかと思いました



《美しい日々》1944-46年  油彩

ゆったりとした一人用のソファに座る少女は、右胸をのぞかせ右足をズズズーっと伸ばして手鏡を見てます
左からの光線と右斜めに伸びた足、その先の白い靴、ゴウゴウと燃える奥の暖炉の四角い構えなどで、全体を幾何学的な印象にしています
少女の、自分への問いかけのような表情が良いですね




《決して来ない時》1949年  油彩

こちらも少女、そして猫です
ガウンをまとって無理な体勢で椅子に腰掛け、背もたれに掴まっている猫を撫でている少女の足は斜めに真っ直ぐ伸びています
「美しい日々」同様、少女の足と奥の窓枠の四角が幾何学的です
大きな窓からの光がのけ反った顎に当たっているさまが意味有りげに見えました
これはポストカードを買いました




《猫と裸婦》1949-50年  油彩

「決して来ない時」と似た構図です
モデルも同じですが、うねるような体の動きが窓からの光でより強調され、肉感的な身体つきが浮かび上がっています



■第3章    シャシーー田舎の日々


1953年、パリを離れブルゴーニュ地方シャシーの城館に移り住んだバルテュスは、絵画のマティエール(絵肌)の研究をします
カゼインとテンペラを混ぜてフレスコ画のような、漆喰のような質感を追求し、色彩も明るくしていきます



《樹のある大きな風景(シャシーの農家の中庭)》1960年 油彩

シャシーでの最後の風景画で、城館の3階の窓からの眺めです
遠景に冬の光が当たる田畑、前景には光によって幾何学的造形を見せる中庭となってます
印刷物では感じ取れない肉厚な田畑の質感がとても素敵です


この時代も少女は描いてますし、説明では最も多作な時期となってますが、展示自体は8点でした



■第4章    ローマとロシニエール


1961年にアカデミー・ド・フランスの館長になった関係から来日をしますが、夫人との出逢いや日本文化からの影響は、バルテュス後半生の大いなる転機となりました




《朱色の机と日本の女》1967-76年 カゼイン・テンペラ

節子夫人がモデルの不思議な絵です
この作品も、伸ばした足や壁の模様、ついたての直線で、幾何学的な印象を与えています
構図や陰影のない人物表現は日本画の影響があるということです



《読書をするカティア》1968-76年  カゼイン・テンペラ

ゆったりとした椅子の少女は片足を立て、本を持っていますが視線が斜めになっています
30年前に描いた「夢見るテレーズ」と似た構図ですが、壁は研究の成果が出てフレスコ画を越して壁画のようです
この作品も光の用い方が素晴らしい……白く伸びた脚が前方から当たる光で艶かしく感じます、少女なのに…




途中、沢山の私物でほぼ生前と同じにしたアトリエや、展示最後には資料、愛用品の展示が有りました



思っていたよりも早めに観終えましたが、ショップに着いたら5~6人しか居なかった…ハハハ



今回初めてバルテュスの作品を時系列で観ましたが、自分の内面をぶつけた線から作風が変化していく様子がわかりました
大変有意義なバルテュスナイト☆、ありがとうございました!



注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです



【バルテュス展】

会期:2014年4月19日(土) ~ 6月22日(日)
会場:東京都美術館
休館日:月曜日、5月7日(水) 
※ただし4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開室
開室時間:9:30~17:30 (入室は閉室の30分前まで)
夜間開室:毎週金曜日は9:30~20:00 (入室は閉室の30分前まで