この世にはとんでもなく嘘が多い、と自身は感じている。
とは言えそれも個人の感想ということで、どれくらいがとんでもなくなのかは個々人の感覚に委ねられる。
自身は幼少期からよく嘘をつく子どもであり、それは自らつくというよりも何かの受け答えをする時に都合が悪ければ誤魔化したり自分を美化したり、或いは相手の発言に同意するような嘘であったりとまあ嘘が悪いとは全く思わずに生きていた。
ところがある時期に病に罹りそれを乗り越え旅をし始め、徐々に嘘をつく必要が無くなってきた。
つまり生き方が変わり、ありのままの心に近い状態で生きることが出来ていた。
それは兎に角幸福であり、何時誰といても心は満たされ、自身の心の奥底から望むことが現実に向こうからやってきていた。
しかしそれによって封じ込められた邪悪な心や欲望は沸々と腹の奥に溜め込まれていたのか、人生の岐路に立たされると決まってそれが大爆発を起こし、自身に関わる全てが一旦チャラになるような出来事を招く。
大きなピンチにはやはり保身の嘘をつく、そして嘘とは何をしてもバレなければ良いといったとても邪悪な心の現れである。
ブッダの言葉にも『嘘はどんな悪よりも悪である』というような言葉があったが、表面的には善人であってもその心や行いの奥にあるものが邪悪であればそれは大きな悪となり得る。
嘘が悪い訳ではなく、大事な嘘もある。
他者の為に、世の為に嘘が必要な場面は勿論沢山ある。
只、元々嘘を沢山発していた自身としては、それを少しずつ手放していくと、この世の多くの嘘が邪悪なものであるということに気付くようになった。
何処まで自分自身の魂を浄化していけるかは、一人一人に問われているのだろう。