この記事は、「ピンク・フロイドを語りながら、ブルース、ジャズ、ロックの歴史を振り返った日々」からの続きになります。
10月17日早朝にアップロードした後、同日夜に、終盤のテキストで若干の加筆をしています。
ジョーカーズ・ワイルドは、ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアが1962年から66年まで参加していたバンドです(ギターとヴォーカル)。
主に地元のケンブリッジで活動し、1965年に限定版でリリースした5曲入りのEP(ミニLP)では、フォー・シーズンズやチャック・ベリーなどのカバーバージョンを演奏していました。
JOKERS WILD - Why Do Fools Fall in Love(1965)
(Original: 1956 Frankie Lymon & The Teenagers)
JOKERS WILD - Walk Like a Man (1965)
(Original: 1963 The Four Seasons)
JOKERS WILD - >Don't Ask Me (What I Say) (1965)
(Original: 1964 Manfred Mann)
JOKERS WILD - Big Girls Don't Cry (1965)
(Original: 1962 The Four Seasons)
JOKERS WILD - Beautiful Delilah (1965)
(Original: 1962 Chuck Berry)
このジョーカーズ・ワイルドは、後年のピンク・フロイドにも縁のあるバンドなのでした。
シド・バレットの1stソロアルバム『The Madcap Laughs』(1970)は、全体をデヴィッド・ギルモアとロジャー・ウォーターズがプロデュースしているのですが、一部の曲では、デヴィッドとジョーカーズ・ワイルドの仲間だったウィリー・ウィルスンが演奏しています。
デヴィッド・ギルモアの1stソロアルバム『David Gilmour』(1978)では、元ジョーカーズ・ワイルドのウィリー・ウィルスン(ds)とリック・ウィルス(b)が参加(その後のリック・ウィルスは、フォリナーやバッドカンパニーに加入)。
また、73年頃からフロイドのレコーディングやツアーでおなじみになる、ディック・パリーには、60年代半ばのジョーカーズ・ワイルドにサックスで参加していた時期があります。
2012-10-17 04:11:10
ジョーカーズ・ワイルドとピンク・フロイドには、1960年代半ばにも接点があります。
二つのバンドが、ケンブリッジで共演したのは、1965年11月のことでした。
その年のデイヴ(デヴィッド・ギルモア)は、ジョーカーズ・ワイルドの一員としてEPレコードを出しているのですが、その頃、後にピンク・フロイドを名乗るメンバーはどうしていたのでしょうか。
デイヴの幼なじみのシド・バレットは、64年に故郷のケンブリッジのハイスクールを卒業した後、ロンドンのアートカレッジに入学していました。
64年の夏に、シドは、ハイスクールの同級生だったボブ・クロースといっしょにロンドンに移住します。
ボブはリージェント・ストリート建築工芸学校に通うことになっていて、そこには彼らのハイスクールの2学年上の先輩、ロジャー・ウォーターズが在籍していました。
シドとボブは、ロジャーの下宿先のハイゲイトハウスと呼ばれるアパートに引っ越します。
シドにとっては、ロジャーは、ハイスクールで同じバンドにいたこともある音楽仲間。
シドとボブは、ロジャーが建築工芸学校の仲間であるニック・メイスンやリック・ライトたちと組んでいるバンドに加わることになりました。
バンドの名前は、結成当時の"Sigma6"以降、しょっちゅう変わっていたのですが、シドとボブが加入した後もしばらくのあいだは流動的です。
ロンドンのライブハウスに出るときは、下宿先の大家さんの名字を取り入れた"Leonard's Lodgers"でしたが、シドが好きなブルースマンの名をつなげた"The Pink Floyd Sound"と名乗ることもありました。
シドとボブが加入する前に使われていた"T-Set"というバンド名が一時的に復活したこともあります。
それは、1965年11月、シドとロジャーがあるパーティに招かれてケンブリッジに帰省したときのことでした。
そのパーティというのは、ケンブリッジ・ハイスクールの仲間だったストーム・トーガソンの恋人、リビー・ジャニュアリー嬢21才の誕生日を祝う会。リビーの父親は裕福な人で、成人祝いを盛大にということで、娘が友人づきあいをしているミュージシャンやバンドが演奏できるステージを自宅の庭に作ってくれたのです。
デイヴの在籍するジョーカーズ・ワイルドも招かれていて、この日のステージでは、当時は無名のアメリカ人だったポール・サイモンのバックバンドも務めています。
ステージのトリを務めたのはロジャー、ニック、リック、シドの四人による”T-Set”でした。途中からはデイヴもステージに加わって、大盛況だったそうです。
リビーの両親やフォーマルウェアの招待客をびっくりさせたものの、ストーム・トーガソンは、このパーティを機にリビーとの結婚を認められ、その後も仲の良い夫婦として暮らしているということです。
(参照資料:ニック・メイスン著『Inside Out』2004 Weidenfeld & Nicolson、マイク・ワトキンソン&ピート・アンダースン著 小山景子訳『クレイジー・ダイアモンド/シド・バレット』2001 水声社)
2012-10-17 21:03:39
この記事は、10月17日早朝にアップロードした後、同日夜に、終盤のテキストで若干の加筆をしています。