プログレッシブBBSの思い出_ピンク・フロイドmemorandum -103ページ目

プログレッシブBBSの思い出_ピンク・フロイドmemorandum

  
【ピンク・フロイドについて語り合おう】
【プログレ、ジャケットの名盤】その他のログを読みながら
プログレッシブ・ロックとオールディーズの魅力再発見の日々……
〈ザ随筆〉での執筆記事も再録準備中.




 



 この記事は、11月28日(22:12:06)にアップロードした後、
 タイトルには( )内を追加、本文には大幅な加筆をしています。
 本文の加筆は、映像紹介の後からです。

 





 

 

MUSIC LIFE 1971.9 (Vol.21 No.277 Sept) P30 - 31, P79 - 83


 
Pink Floyd - Atom Heart Mother: '71 Hakone Aphrodite (15:12)


 
 いよいよピンク・フロイドの登場だ。時刻はPM6:35。天気が悪いせいか8月にしては、あたりが薄暗く、肌寒い位である。ステージに登場したフロイドの面々はステージ脇に設置されたビニール・ハウスの中の巨大な機械類をさかんに気にしながらチューニングを開始。ビーン、ゴーン、ガーンという音がするたびにファンは歓声を上げる。一刻も早く演奏が聴きたくてたまらないのだ。チューニングにかけた時間が約30分。グァーンというギターとオルガンのイントロが一瞬、客席をハッとさせたかと思うと、続いて、そう、あの“アトム・ハート・マザー”が始まった。デイヴ・ギルモアと、リック・ライトの美しいコーラスが、夕闇近い箱根の山々にこだまして、大自然の中でとうとうピンク・フロイドの演奏が始まったのだ。
 デイヴ・ギルモアのリード・ギターの音色のなんと美しいこと! レコードと寸分の違いもない。いや、それ以上の美しさである。
〈来日特報 箱根アフロディーテのピンク・フロイド〉
「大自然の効果、目をつぶり聴き入る観衆」
MUSIC LIFE 1971年9月号 P81 - 82より抜粋 その1


古い雑誌を読み返すたびに思うのは、まず、リアルタイムで読みたかったなぁということです。ミュージックライフを毎号読むようになったのは、この号よりも一年ぐらい後のことでした。
ピンク・フロイドを初めて聴いたのは、ラジオから流れていた「夢に消えるジュリア」だったと思います。アルバムを聴いたのはその翌年ぐらいでしょうか、友人の部屋に遊びに行ったときでした。『原子心母』と『おせっかい』。リアルタイムで買った最初のアルバムは『炎 - あなたがここにいてほしい』でした。
プログレッシブ・ロックという言葉をよく耳にするようになったのは、『炎』の頃からです。この言葉は、むしろ、プログレッシブ・ロック・ブームがピークを越えてからのほうが、使用頻度が上がったのではないでしょうか。

この71年9月号のミュージックライフには、まだプログレッシブ・ロックという言葉が出てきませんが、レコード会社の広告ページには、最新作として、EL&P『タルカス』、ソフト・マシーン『フォース』、キャラヴァン『キャラバン登場』のアルバムジャケットが載っていたりします。ピンク・フロイドもコンピレーションの『ピンク・フロイドの道』で載っています。
編集部の最新アルバム紹介コーナーには、キング・クリムゾン『ポセイドンのめざめ』が入っています。

 キング・クリムゾンの日本では3枚目、イギリスでは2枚目にリリースされたアルバム。
 このアルバムでは、現在マクドナルド&ジャイルスとして活動しているイアン。マクドナルドが抜け、今回は、ロバート・フリップが作曲面での中心をなしているようです。……(中略)……彼らの特徴といえる恐ろしさと美しさの二面性を持ち合わせた幻想的なサウンドは独特のものですが、どちらかというとこのアルバムより1枚目の方ができがいいようです。……(中略)……聞き込んでいく内に、何か恐ろしく幻想的な世界に引き込まれていきます。
(MUSIC LIFE 1971年9月号 P170より)

……たしかに、わたしもこのアルバムには引き込まれました。なお、バックナンバー紹介ページから、ひとつ前の8月号で、キング・クリムゾンの特集があったことがわかりました。特集タイトルは〈徹底的研究 キング・クリムゾンの美しい幽玄の世界〉。

この9月号には、後年にフロイド関係の評論やライナーノーツ等でおなじみになる渋谷陽一氏執筆の記事が、ふたつあります。
この時期だからか、どちらもプログレッシブ方面ではありません。
P97 - 99「スワンプ・ロックとは何か? エロチックで粘っこい孤独な南部の叫び」で、ジョー・コッカーやオールマン・ブラザース・バンドなどについて執筆。
P112 -115〈徹底的研究 エリック・クラプトンの総括〉では、前半の「クラプトンは遠い所へ行ってしまったのか」を渋谷氏が執筆しています。後半「エリック・クラプトンの遍歴表」の構成担当者名は、この時点ですでにピンク・フロイド評論家になりつつあった立川直樹氏です。
ミュージックライフ71年5月号の特集〈徹底的研究 冷たくて暖かくてSF的で現実的なピンク・フロイド〉のなかで、立川直樹氏は「ピンク・フロイドを語る時必ず出てくるムーグ・シンセサイザーって何だろう?」を執筆していました。

立川直樹氏がシンコーミュージックから出版した『ピンク・フロイド - 吹けよ風, 呼べよ嵐』(1978.4)およびその文庫版『ピンク・フロイド - One Of These Days』(1992.12)には、立川氏の箱根アフロディーテの体験も書かれています。
文庫版ではP99 - 101に出てくるその文章は、ミュージックライフ71年9月号〈来日特報 箱根アフロディーテのピンク・フロイド〉「大自然の効果、目をつぶり聴き入る観衆」の一部分とよく似ています。もしかしたら、立川氏もレギュラーのライターとしてこの号の特集記事に参加していたのかもしれません。


 “ユージーン斧に気をつけろ”の演奏に入る前に、また延々とチューニング。待ちくたびれた観客の叫び声にデイヴ・ギルモアがゆっくりと手をふってこたえる。私達はその時初めて彼の笑顔を見た。吹きすさぶ風に金髪をゆらめかせ、蒼白の顔に浮んだ彼の微笑はゾッとする程セクシーで、あたりにたちこめた霧のせいか女のように美しかった。
 午後7時近くになるとあたりはもう真暗。ステージ脇に設置されたライトが、ピンク・黄・ブルーと色を変える。そのライトの中に、ドライアイスを流したような霧が浮かびあがり、遠くからステージを見ると、まるで色とりどりの霧の中で演奏しているかのように見える。まさに大自然の効果満点だ。
〈来日特報 箱根アフロディーテのピンク・フロイド〉
「大自然の効果、目をつぶり聴き入る観衆」
MUSIC LIFE 1971年9月号 P81 - 82より抜粋 その2


 
 
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