寒い朝、ひとりひとりがドアを出て行く。
やっと起きて眠い顔を洗う。
今日は何が待っているの?
付いては行かれないけれど。
テンションが低いまま、とりあえずの「行ってきまーす。」
ホワイトボードにはそれぞれの予定。
嫌な先生の授業かな。
給食はお代わりしているかな。
バイト先で叱られないかな。
部活でしごかれるのかな。
上司と上手くやっているのかな。
それぞれの子どもたちの毎日は見えない。
2歳のロクはずっと24時間そばにいる。
転んで泣いても抱き上げてあげられる。
みんなそばにいたのに。
もうひとりひとりが自分の時間を生きている。
ツラくて泣きたいこともあるだろうけれど、声をかけてもあげられない場所。
送りだす勇気。
毎朝の小さなサヨナラを言う勇気。
心配して待つ勇気。
それでも子どもたちは出て行く。
何かと会うために。
友達と笑うために。
「給食の時に牛乳吹き出しちゃったよ。」と聞いてほっとする。
帰り道に転んで自転車のカゴがボロボロになって、胸が痛む。
小さな安心と大きな心配と。
子どもを送りだすということは修行だ。
あとは子どもたちの「ただいま」を待つしかない。
何も話せないくらい疲れ切って帰ったら、何か食べてよ。
ママができることは何もない。
もうママの見えない自分たちの時間を生きているのだから。
ロクもホワイトボードに何か書いてとねだる。
「ロクたん、ばいと、がっこ、ぶかつ」
早く大きくなりたいんだね。
ママから離れることは自分の世界がら広がることなんだね。
静かになった部屋でほっとしながら、くよくよと心配している。
ママのお仕事。
洗濯、買い物、掃除、少しの心配。
考えても仕方ないか。
ロクと出かけよう。
ママもドアを開けよう。
