映画ROMAは1970年初頭、メキシコのとある中産階級の家庭の激動の1年を描写した作品。BGMは無く、日々の暮らしが終止、神の視点で描かれる。夫は家を空ける事が多く、普段は妻と祖母と4人の子供達、そして家政婦たちが一つ屋根の下で暮らしている。前半は淡々とその生活ぶりが映し出され、家庭や社会の状況が丁寧に映像で表現される。そしてその一見平穏と思える生活の歯車がが徐々に狂いだす。そこには当時のメキシコが抱える、貧困と格差、差別と偏見、政情不安などがあり、中産階級とはいえ、不安定な状況である事には変わりない。


この作品はモノクロで描かれるべく内容である事は言うまでもないが、その撮影手法がなんといっても素晴らしく、映像がとても美しい。生活音などの使い方も秀逸で、映像表現も芸術的だ。
脚本はブロローグでこれから描かれるべき物語の暗示があり、そこからは時間の経過に合わせて、直線構造で物語が進んでいく。

そしてクライマックスでは、人生において、本当に大切な事は何か?家族の絆とはなにか?といった事について、ある種の答えが提示される。(★★★★☆)