
ドリアン助川の同名小説が原作のこの作品は、希望を失った人々が、前を向いて歩いていく事の大切さを通じて人はいかに生きるべきかを考えさせられる物語だ。
どら焼き屋の店長。家族に見放されどら焼き屋に通う少女。それぞれ人生での絶望感を味わい、どうする事のできない状況を感じている。そこに現れるのが樹木希林演じるおばあちゃんだ。そして彼女の登場によってドラマが始まり、物語は展開していく。
タイトルの「あん」は直接的にはどら焼きのあんの事をさしているが、隠喩として、人生における「あん」とは何か?も提示している。人生における「あん」すなわち「心」(こころの持ち方)の大切さの事だ。
この作品は、なんといっても永瀬正敏と樹木希林のキャスティングとその演技がすばらしいと思った。特に永瀬正敏の心情的な演技はここ数年の中でもっとも良かったと思う。
そしてラストの永瀬の演技。映画の全てを物語る見事なカットでした。(きっと河瀬監督もこのカットイメージは始めからもっていたことでしょう。)
カンヌでスタンディングオベーションが5分も続いた理由もわかります。(★★★★☆)