ルーウィン
カメラは一人の男の人生を追いかけていく。その男の名はルーウィン。歌に人生をかけたシンガーだ。現実はそうあまくはない。なんとか、ライブのギャラで食いつないではいるが、限界だった。家族や恋人にも見放され、船の仕事に戻ろうとするが、歌が彼を呼び戻すのだ。やはり歌なのだ。
彼は歌によって生かされ、彼の歌が求められている事も確かだ。人は生きる役割を見いだす事で生きる意味を実感する。一人でも自分の歌を必要としている人が入ればそれで良いのだ。成功はおさめられなかったが、彼の心の歌はボブ・ディランなど多くのシンガーに影響を与える。

コーエン兄弟の脚本と編集は、期待を裏切らない。さまよえる彼の生活を猫を使って表現している点もユニークだ。また、今回はカメラが良い。ズームアップやパンフォーカスを絶妙に使いこなし、人物や対象物に入り込んでいく。映画インサイド・ルーウィン・デイヴィス、地味な作品ではあるがクロウト好みの秀作と言えるだろう。(★★★★)