
京都シネマで「彌勒(みろく)」を見た。この作品は林海象監督と、京都造形芸術大学映画学科の学生90人が中心となって作られた作品です。上映前、偶然にも林海象監督が来館されており、監督自ら、この作品の紹介をしてくださった。内容はある男が小説家になるという夢の啓示を受けて、努力するが叶わず、どん底の生活を送り限界に至ってしまうという話である。作品は二部構成になっていて、第一部が学生俳優が演じる「少年編」。第二部は「青年編」というかたちで永瀬正敏、井浦新、佐野史郎など、プロの俳優たちが、夢のなれの果てを表現する。
原作は、稲垣足穂(1900~1977)の小説「彌勒(みろく)」で、哲学的要素の強い著作だ。自分はどこから来て、どこに行くのか?自分は何者なのか?主人公の葛藤を通して、人の存在意義を問う。
この映画には、映画に音楽が入っている「映画版」と、映画に音楽が入っていない「生演奏版」二つのバージョンが存在し、今回鑑賞したのは生演奏を特音した生演奏版の方。
映画が始まって120年を迎える今年、映画は新たに新世紀が始まるとし、本作品もそういった作品の一つであると話していた。
作品の演出を見ていると、数々の名作のオマージュ的な撮影方法や演出が随所に見られ、総合芸術としての映画を意識し、これからの日本映画を背負っていくであろう学生たちとそれを確認をするように作っているような、そんな意図を感じた。(★★★)