
用例採取という言葉を初めて耳にした。簡単に言ってしまうと日常使われている言葉を集める作業の事だ。この映画は辞書編集というかなり特殊な仕事を題材としているが、言葉の意味が分かって初めて人とのコミュニケーションがとれるという事を考えると辞書というのは、コミュニケーションの素の集大成みたいなものなのだろう。本作で原作者が伝えたいのはまさに、人と人とが通じ合う事であり、松田龍平演じる馬締くんを使って見事にそれを言い表し、辞書編集が進むのとシンクロするように彼が成長して行くさまがとてもユーモラスに描かれている。
いい味をだしているのは、同僚の西岡役のオダギリジョー。彼のパーソナリティがうまく出ている。
私も以前ある電子辞書の制作に携わった事があるので辞書編集の大変さはよくわかる。
とにかく根気のいる仕事で、語釈執筆はもちろん、類義語や反対語などが絡んでくるとその確認作業ときたら本当に大変だった記憶がある。
辞書はウィキペディアのようにネットで作られ、簡単に検索して意味が調べられる時代。そういった便利な時代であるからこそ、私たちはよりいっそう言葉の持つ意味をきちんと理解し、それを正しく使えるように努力していかなければならないのだろう。(★★★★)
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