$芸術に恋して★Blog★-yuraku生まれて、死んで、生まれて、死んで。そんなおばあ役の寺島しのぶの言葉が印象に残った。どんな血を背負おうとも、人は生まれて死んで行く、ただそれだけ。人はそれぞれ運命をもって生まれてくる。そしてその運命の中でもがきくりしみながら、生きる事を肯定していくものなのだろう。
産婆であるオリュウノオバ(寺島しのぶ)は生を受け取り、死を見守る。
愉楽とは「深い喜びを味わうこと。心から楽しむこと。悦楽。」のこと。この映画のタイトルが何を言わんとしているか、映画を見ながらいろいろ考えてしまった。喜びと苦しみは表裏いったいであり、人が喜びを感じるためには、苦しみが必要なのか?喜びを感じる事が人生なら、苦しむ事も人生である。
舞台は田舎の漁師町、三重県の尾鷲だ。坂、狭い路地、内海を見渡す風景。そして、時折流れる三味線の弾き語りが心にしみる。
寺島しのぶの演技もすばらしかったが、半蔵役の高良健吾、みよし役の高岡蒼佑の演技も見所があった。特に高岡蒼佑は押さえる事のできない感情と、自分の運命との狭間で苦しむナイーブな演技が良かった。
本作は若松監督の遺作となってしまったが、若松イズムを伝える日本の映画作品の一つとして映画愛好家の中で語り次がれる事だろう。(★★★★☆)

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