脚本良し、演出良し、役者良し。三拍子そろった見事な作品でした。『東京家族』はご存知の通り、小津安二郎の『東京物語』にオマージュを捧げた家族ドラマだ。誰もがさける事が出来ない老いと死、そして愛する家族や親戚との関係の中で人としてどのように生きるべきか?そのごく普通の日々の生活の中にそんな大切なメッセージを感じさせられる。シーンだけ切り取ってみれば、平凡なのかもしれないが、一つの物語として見て行くとその一つのシーンがとても大きな感動を呼ぶ。
物語自体は普通のドラマなのだが、シーンとシーンをつなぎ合わせる事で生み出される、映画ならではの芸術性が感じられる。
台詞のひとつひとつも丁寧で味わい深く、全てが関連性、意味を持っている。
俳優陣の演技も素晴らしく。誰がどうという事は言えないほど、メインキャスト全員が、この脚本を充分に理解し、ドラマ自体を自分ごとのように納得して演じているように思えた。(全員が日本アカデミー賞の候補といってもおかしくない。)
劇場を見渡すと、ほとんどがシニア。夫婦で見にきている方も多かったように思う。そのせいなのか、みんななかなか立ち上がらず、劇場からなかなか出られなかった。噛み締めるように泣いている方も見られた。小津監督へのオマージュ。しっかりといただきました。(★★★★)
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