
井上靖の原作を演技派俳優で映画化した「わが母の記」を見た。すばらしい作品であった。まずは、原作の力。日本人が考える世襲や家族とは何なのかをしみじみ感じさせられる。役所広司演じる小説家、洪作は幼い頃親に捨てられた心の傷をもちながら、家族をテーマに小説を書き続けるている。三女の琴子(宮崎あおい)はカメラマンとなり、現実の家族を写真におさめていく。そして、母の八重(樹木希林)老いで記憶を失いながらも、人生の清算を無意識のうちに始めるのだ。その中には我が子を手放してしまった後悔があり、変わる事のない子供への愛が現れる。そんな、家族の風景描写と心情が映像を通して見事に伝わってきた。
この三人の演技はすばらしく、特に樹木希林の自然体の演技には心を打たれる。
家族とはなんなのか、親子とはどういうものか、そして人の人生とはなんなのか。これら全てが見事に物語の中に落とし込まれ、決して押し付けがましいところがない。このあたりは、クライマーズ・ハイの原田眞人監督の演出、編集の妙なのであろう。
この映画を見終わった時にふと思った。
家庭は女が作るのであり、家族は男が作るものなのだなあと。(★★★★)
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