奈良市高畑にある入江泰吉記念 奈良市写真美術館に行ってきた。この美術館は、戦後大和路の風景を撮り続けた写真家、入江泰吉の写真作品を中心に展示を行っている美術館だ。入江氏の事はあまりよく知らなかったが、今回の観覧で彼がどのような写真家なのかよくわかった。彼の作品は大和路の風景、仏像、花など、どちらかというと記録的要素が強いように思われるが、実はその中に、彼独特の感性が現れているのである。
彼は写真を取るということについてこう語っている。
「構図が決まっているだけでなく、そこにもう一つ、私の中のモチーフが同時に反応しないとシャッターを押しません。」
写真を撮る者にとっては、ごく当たり前のように思えるが、これを簡単に素直に語れるという事自体、プロフェッショナルの証のように思える。
そしてまた、歴史的な土地である大和路を撮影することに関しては、
「史実に彩られたあわれにもわびしげな感性的な美しさが溶け合っているところから、単に自然美の客観的な美しさをあらわすだけでは語りつくせないだろう。」と語っている。
これは、まさに現場を知り尽くしているからこそ言える発言だ。
カメラの性能がよくなり、だれでも簡単にきれいな写真がとれるようになった時代、写真家としてやっていくのは相当大変な事であると思う。
彼が写真家として自分をこう言っていた。
「良い写真を撮るより、撮り続けることが自分の仕事。」プロとしてのこの言葉、重みを感じた。

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