瀬戸田に行ったもうひとつの目的に、平山郁夫美術館があった。私は高校生の時、彼のシルクロードシリーズを美術館で見てから彼のファンになった。「シルクロード」という言葉を聞いて、頭にまっさきにイメージされるのは、彼の「流沙浄土変」という作品。らくだに乗った商人が黄昏の砂漠の中をシルクロードを行く姿だ。今回はふるさと瀬戸内とシルクロードIというテーマで、少年期から晩年まで、彼の作品を思う存分鑑賞できた。源頼朝図などはとても中学生が書いたとは思えないほど繊細で迫力があった。そして、シルクロードシリーズの作品、アンコールワットの月や敦煌の風景はアジア的な神秘を感じた。
展示されている作品の中で、気になった作品があった。それは、2001年にタリバンが破壊した、バーミアン石仏の絵だ。タリバンはイスラムの偶像崇拝禁止の規定に反しているとしてバーミヤン遺跡の破壊を宣言、平山郁夫氏も日本政府とともに、破壊を防ぐための秘密交渉を行っている。しかし石仏は破壊されてしまった。平山氏はこれを嘆き、その石仏を破壊される前と破壊後の絵をそれぞれ、描いている。
なんともやりきれない思いを感じさせる作品だ。
写真ではなく、彼の筆画で見せられると、その文化的な損失に対し、なんともやりきれない気持ちになった。
平山郁夫の旅―「仏教伝来」の道 シルクロード/平山 郁夫

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