とても小説的な映画だった。小説的な映画とはなにか。映像の中に俯瞰的な描写があり、台詞の中に哲学的な深みを感じられるものだ。草原を早足でさまよい歩くシーンはロングショットでまるで夢の映像のようだった。また、男女二人のアップでのささやくような台詞の掛け合いは二人が置かれている現実を感じた。そしてそこで発せっられる台詞は妙に哲学的であった。
村上春樹原作の映画化といえば、少し前に「トニー滝谷」があったが、この作品では小説的なイメージをのこすため静止的なシーンにナレーションをかぶせるという手法がとられていた。
この時、村上春樹作品は映画化しにくいと感じた。それは文章でなければ伝わらない部分がおおいようにおもったからだ。
本作も同様で、原作を読んでいないものにとっては、その描写のシーンを完全に咀嚼するのは難しいし、注意してみていないと、台詞が聞き取れなかったりした。
悲しみを乗り越えるために人はどうすればよいのか。そんな時、男は女に、女は男になにを求めるのか。その弱い人間の本性がたくみに物語の中に組み込まれている。
映画的にはすこし退屈だったが、映像の捉え方と演出はいままでの日本映画ではあまり見たことがない新鮮さを感じた。(★★★☆)
ノルウェイの森 公式ガイドブック (1週間MOOK)/著者不明

¥1,575
Amazon.co.jp