芸術に恋して★Blog★-キャタピラー


寺島しのぶがベルリン映画祭で金獅子賞を取った事で話題になった、「キャタピラー」
を見た。

この映画は戦争で四肢を失い帰ってきた夫を軍神の妻として世話をする話である。

この作品は反戦映画であり、映画の始めから終わりまで、記録映画風につくられている。終始語られるのが、軍国主義の日本の価値観であり、すべての国民は「お国のため」生きている。

四肢を失い、耳も聞こえず、しゃべることもできない。ひとりではなにもできない状態。天皇陛下からいただいた勲章とそれを伝える新聞だけがなぐさみ。

寺島しのぶ演じるシゲ子は疑問をいだきながらも夫を介護する。特に性欲を満たすための描写が多いが、これは戦争下の一般人が受ける戦争の悲劇と大きく関係している。

戦争は人間生活を壊滅させ、悲劇以外なにものこらないという事を夫婦という家族の最も身近な最小単位の中から理解させられる。



寺島しのぶの演技はさすがに見事で、シーンシーンのシゲ子の気持ちがリアルに伝わってきた。顔のアップも多く、これだけ表情で演技ができる女優はそうはいないだろう。

音楽は元ちとせで、「死んだ女の子」という広島の原爆で死んだ7歳の女の子の歌詞が痛かった。
元ちとせは以前にもこの曲の依頼を受けていたようだが、あまりにも歌う事が苦しい詩なので、断っていたようだ。(★★★☆)