
映画「アカシア」はアントニオ猪木が元プロレスラーという役柄で主演する。そんなこともあってか、男性客が多かった。猪木がどんな演技をするのか、ちょっと見てみたい気がするのだろう。プロレスラー関連の映画では、昨年ヒットしたミッキー・ローク主演の「レスラー」や、ジャン・レノ主演の「グランマスクの男」を思い出す。「レスラー」では年老いたレスラーの男としての生き様に感動した。グランマスクの男では愛のために戦うカッコよさがあった。
今回のアカシアはこれらとは少し違う、それは紛れもなく家族の物語であった。
主な舞台は高齢者が多く暮らす団地。そこでほそぼそと暮らす元レスラー。ある日親に捨てられるようにして「大魔神」(猪木)に男の子が預けられる。猪木はそれを受け入れ、男の子との二人暮らしの生活がはじまる。二人は失われてしまった家族の愛を補完しあうような境遇であり、そこから物語が展開していく。
猪木はどんな演技を見せるかは大体想像がついてたが、なかなか頑張っていたのではないかと思う。決してうまいわけではないし、見ているこちらが恥ずかしくなってしまうシーンもなんどかあったが、猪木ならではのいい味をだしていた。子役の林 凌雅も純粋ないい演技をしていた。
しかし全体として、物語の展開が唐突で、余分なシーンが多かった。伝えたい気持ち、表現したい絵づくりはわかるが、脚本演出が咬み合っておらず、少し空回りしている感があった。
ただ函館というロケーションはとても良く、すこし寂れた感じと海と山を臨む美しい景観がなんともいえないノスタルジーを感じさせてくれる。(★★★)