山田洋次ファンや吉永小百合ファンが多いのか、客席は年配の方が多かった。映画「おとうと 」は山田洋次監督の10年ぶりの現代劇で、その期待も大きかったと思う。
映画は期待通り、とても安心して見られる正統派の作品に仕上がっていた。
どうしようもない弟だけど、家族の一員であいされたおとうと。そんな家族の絆を描いた作品だが、その背景には、医療問題や看取りの問題が物語の中でクローズアップされる形になっている。身寄りのないお年寄りが増え、医療現場の崩壊が叫ばれる中、ホスピスの存在や、看取りの問題は今後ますます大きな問題になっていくと思う。
主演の笑福亭鶴瓶の演技は話家としての技量はもちろん役者としても見事な演技を見せている。その他、娘役の蒼井優や脇を固める名優人たちはそれぞれの個性を遺憾なく発揮しているが、若干気になったのが、吉永小百合の演技と全体的な台詞の言い回しであった。吉永小百合は存在感があり、いるだけで映画の品格があがるような力があるが、演技やテンポが上品すぎて、少し浮いた感じをうけた。また、脚本的には丁寧すぎる言葉使いや、正確に内容を伝える為に説明的な台詞が多かったので、少し違和感を感じるシーンもあった。
「おとうと」は古き良き時代の日本映画という感じで、わかりやすくよかったが、丁寧すぎて見ている側の考える部分が少なく若干面白みにかけるような気がした。(★★★☆)