「俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。少年は知らなかった、人生の始め方を。」これが、映画「グラン・トリノ 」のキャッチコピーだ。グラン・トリノはクリントイーストウッド監督の代表作の一つになるのは間違いないだろう。このコピーにあるように、イーストウッド本人が本人としてそのまま出演しているような錯覚すらおこすくらい、彼本人がきっと感じているであろう生きてきた時代、社会に対しての思いがこの作品に込められている。
その中には晩年でしか感じることができない、人生への後悔や自分に対する誉れのようなものが表現され、そして、なによりこれからの若い世代に向けての熱いメッセージと深い愛情を感じるのだ。
ハリウッドのあこがれのスターとして、彼がこの役を演じた事はとても意味深いものだと思う。彼にあこがれ、彼のようになりたいと思ったファンはきっとこの映画を見て、彼のファンで良かったと改めて思うに違いない。
映画後半で流れる涙は、悲しみや切なさからくるものではなく、男としての慈悲の心や深い愛情に感動して流れるものだ。それはダーティハリーで、自分の正義を貫き、悪をたたきのめした彼が、この作品ではその対極にある平和への深い願いが強く感じられるからなのだろう。
いままで、彼が主演している作品は何本も見たが、この作品が最もカッコイイ、かっこよすぎる。(★★★★★)