なんだかいつもと違う涙が出ているような気がした。映画「おくりびと 」は遺体をきれいに棺桶におさめる納棺師という職業に焦点があてられているため、人が亡くなるシーン悲しみのシーンが多い。しかし、涙が何度となくあふれてくるのは、納棺師のなくなった方に対する儀式によるものが多いように思う。ただ坦々と儀式を進めていく中にも、生前の故人や遺族を気遣うちょっとした優しい行為が胸にぐっとくるのである。
この作品は正面からみると死がテーマになっているように思えるが、実はその裏側の生が本当のテーマなのだと思う。劇中、納棺師の社長を演ずる山崎努が「うまいんだなあ、困った事に」と食事をしながらぽつりと話すシーンがあるが、これこそが生を実感している言葉だったのであろう。
主人公大悟を演じる本木雅弘の自然体の演技もさることながら、脇をかためる俳優陣のキャスティングが良く、プロットひとつひとつのエピソードの意味がよくわかり、最後まで物語を充分楽しめる事ができた。(★★★★☆)